نخستین 196 خط.
時は戦国 永禄2年。
日本中が戦に明け暮れていた 群雄割拠の時代。
霧で何も見えませぬな。
見えた! 敵じゃ~! 敵兵に囲まれておる~!
唯之助! 大事ないか!
何のこれしき。
この唯之助の 腹の足しにもならんわ!
敵およそ3, 000余り。 我ら 1, 000にも届きませぬ。
3, 000…。
ええい 先陣は! 小平太は何をしておる!
三方から撃たれ 思うように進めず。
放て~!
ここは逃げるが吉かもしれぬ。
いや な… 何を言うか たとえ 3, 000だろうが➡
我ら1人で 3人当たればよいだけの事。
もはや これまでか。
見ろ!
若君…。
こうしてはおられん。 お前 まさか…。
行くつもりなのか!? 行かいでか。
若君様をお守りするのじゃ!
そのために わしは はるかはるか 遠くから やって来たのじゃ!
こん たわけ~!
わしら足軽風情が足元で死のうが 若君様には 屁でもないぞ~!
唯之助です! 足軽の唯之助が参ります!
これは 乱世を生きる 一人の足軽の物語である。
その者は 戦場でしか会えぬ人のため➡
ただひたすら 戦国の荒れ野を駆け巡り➡
いとしい人を守り続けた。
だが その者には秘密があった。
その足軽とは 実は…。
おい 俺が誰か分かるか?
みそ田楽。
たわけ!
吉田 今 何の話をしてたか 速川に教えてやれ。
「1559年 永禄2年 黒羽城城主 羽木忠高は➡
隣国 高山に攻め込まれ 城ごと炎上 滅亡した」。
羽木…。
あるだろう 町なかに城跡が。
あ~ 小学校の遠足で お弁当 食べた。
はい よくできました。
翌年が かの有名な桶狭間の戦いだ。
焼きそばか。
頂きます。
吉田君 一個食べない?
ああ いや 僕 人が握ったお握り 駄目なんで。
あ~ 即行ふられた。 次 行きゃいいじゃん。
れいなは恋愛体質だから。
んっ! やった~ シャケ。
位置について よ~い…。
位置について よ~い…。
えっ ちょっ ちょっと待って。
ファイト!
速っ! すげえ。 唯 足だけは速いのよね。
足だけは速いんだよな。
ヤバッ! メダル確実じゃね?
ってか 全国狙えっしょ。 いけるよな。 いける いける。
フォームを安定させれば まだまだ いけるぞ。
何か違うんだよな。
何だ まだまだ上狙えるってか こいつ。➡
よ~し じゃあ 今日は徹底的に練習するぞ。
もう走っちゃってるよ。
やる気あんのかないのか 分からんな。
おなかすいた~!
ごはん… ごはん ごはん ごはん ごはん!
≪ただいま~!
おなかすいた。
ただいま~。 帰ったか。
おっ レンコンの挟み揚げ。
じゃあ そろそろ かあさんも診察が終わる頃だな。
はい 特に問題ないですね お酒は控えめにして下さい。
そんなに飲んでないですよ。 本当かな~?
いつものお薬 出しときますね。
尊は? 実験室?
うん 新しい発明が佳境らしい。
あいつ やっぱ 天才だな。
それ 本人の前で言っちゃ駄目だよ つけあがるから。
あっ。 う~ん でもな~。
あ~。 あ~ いい匂い。
おお 満月 でか。
尊 そろそろ ごはんだって。
尊?
切腹?
ああ 駄目! 何すんだよ 姉ちゃん。
死んじゃ駄目だよ! 確かに あんたは不登校で➡
ろくでなしだけど 発明の才能 あるんだから!
死なないよ。 ええ?
僕をバカにしたやつら そのままにして死ぬもんか。
あんた 本当 執念深いね。
執念深さは いじめられっ子の武器ですよ。
発明の原点とも言えるね。
実はさ…。
ジャカジャ~ン! タイムマシンが完成したんだ。
何だ タイムマシンか。
仕返ししてやりたいやつを戦国時代に 送り込んでやろうと思ってね。
戦国時代ね。 原理は単純なんだ。
本来 ワームホールの ゆがんだ時空の中には➡
近づく事さえできないと 考えられている。
だけど 僕は 事象の地平面を自由に 通過できる方法を見つけたんだよ。
時間を逆行する反粒子は存在した。
完成したら まずは実験だ。
そう思って 準備もしてみたんだけど➡
いざ 戦国の世で生きるとなると➡
やっぱり 自信がなくて迷っちゃって。
絡まった。
ねえ これ借りていい?
何 これ? おもちゃじゃん。 こんなんじゃ 何の役にも…。
お姉ちゃん それ タイムマシンの起動スイッチ!
え?
ん?
ん?
お姉ちゃん!
おい!
たわけ! 寝ておる時ではなかろう。
えっ 先生?
泣くな! 何これ?
羽木の足軽どもが泣いて逃げたと 高山に笑われてもよいのか!
足軽? しかし 木村様。➡
城を奪われ 敵に追い打ちされ➡
我ら これ以上の 生き恥をさらすのは…。
タイムマシンが完成したんだ。 仕返ししてやりたいやつを➡
戦国時代に 送り込んでやろうと思ってね。
まさか…。
いやいや いやいやいや…。
皆 立て。
山さえ越えれば ご城下じゃ。 何としても 生きて戻ろうぞ。
<ゲーム! そっか 尊のやつ バーチャルなゲームを発明したんだ。➡
って事は スイッチを戻したら…>
戻らない…。
何をしておる 小僧! うん? さっさと立て。
はい。
たいまつを消せ。
ここは まだ敵地じゃ。
怪しい者を見つけたら その場で斬って捨てよ。
ははっ。
斬る?
オオカミに気を付けろ 食われっぞ。
<どうしよう?➡
どう考えても こいつら 負けて逃げてる超イタい集団だ。➡
それにしても みんな 何で 私に気付かない訳?>
よし ここらで一息じゃ。
ああ…。
鎧は脱いだ方がよい。 なっ わしが持とう。
ゆっくり脱げ。 よし。
あの…。 あ?
それは わしが持とう。 ああ…。
くっさ~。
何ですか?
お前 何者じゃ?
お前のような者 見た事がないぞ。
お前は…。
どこの者じゃ?
わしは…。
唯之助… とか?
問うておるのは わしじゃ!
唯之助といえば 梅谷村の孫兵衛のせがれか。
そういえば 先の戦で死んだ 孫兵衛のせがれが➡
こたびの合戦に加わったと 聞いたが…。
いや 孫兵衛のせがれは 確か… 弥之助というたはず。
それは 庄之助の孫であろう。
孫兵衛のせがれは 重三郎じゃ。
わしは 唯之助と聞いたが。 聞き間違いじゃ!
重三郎は与太郎の…。 ええい!
どうなのじゃ? 唯之助。
孫兵衛のせがれでござる。
なっ?
夜が明ける前に 山を抜けるのじゃ!
続け! はっ。
痛っ!
ここ どこ? 何 うたた寝してんの。
うたた寝? レンコンの挟み揚げ冷めちゃうぞ。
はい 頂きます。 頂きます。
唯 もう…。
やだ…。 頂きます。
もう やだ。
もう駄目だ…。
私 死ぬのかな…。
いやいや いやいや…。
どこから参った?
申せ どこの者じゃ?
黒羽市東町3丁目45番地。
怪しい者じゃありません。
ただ おなかがすいて このキノコを食べようと。
食う?
それを?
一晩中 歩いてきて もう限界で➡
どうせ死ぬなら 何 食べてもいいかな~って。
そうか。
好きなだけ食せ。
どうじゃ? 何か 泥臭いっていうか。
毒じゃ。 食うたら 心の臓が止まる。
死ぬとこだった。 死ぬつもりではなかったのか?
ならば生きよ。
あっ あの… あの 行っちゃうの?
山を越えてきたのか?
はい。
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