نخستین 200 خط.
よく こちらで 飲まれるんですか?
ええ。 海外の来客を お泊めする事が多いですから。
素敵なホテル。
泊まってみたいなあ。
彼氏に頼んでみるんだな。
それが パッとしないんです 私たち。
ねっ さくら。
寂しいもんですよ。
彼氏 いないんですか?
そう呼べる人と 出会った事がないんです。
えっ 今まで ずっと?
最近 多いんですよ そういう子。
そりゃあ 嘘だよ。 周りが放っとかないって。
じゃあ 私 誘っちゃおうかなあ…。
君たちだったら もう 大歓迎さ。 なあ 英人。
ええ。 仕事以外でも 気軽に会いましょう。
いいんですか? 本気にしちゃいますよ。
≫荒川英人さんですよね?
内閣府特別政務官 嘉数喜一郎と申します。
内閣府?
誠に勝手ながら→
国家の特命により 人材調査をさせて頂いております。
東京大学出身で トップバンクの幹部候補。
仕事ぶりも 実に優秀だと評判です。
はあ… 僕の噂が 内閣府にまで?
あなたは 極秘国家プロジェクトの メンバーに選ばれました。
極秘国家プロジェクト?
国の根幹を揺るがす 深刻な少子化問題に→
政府も ついに本腰を入れましてね。
知ってました?
我が国の 30歳以上の独身男性 25パーセント→
独身女性30パーセントが いまだ 性経験がないという→
驚くべき調査結果が出た という事を。
そこで 第二義務教育法案が ようやく まとまりました。
第二義務教育法案?
簡潔に申しますと→
性経験のない30歳以上の男女 いわゆる「やらみそ」の皆様に→
公的教育機関 オトナ高校で→
本当の大人になってもらうための 教育を受けて頂くという法案です。
それで 銀行マンの僕が そのプロジェクトで何を?
学校用地の買収とか 子育て支援策の立案とか?
いえ 生徒として 英才教育を受けて頂きます。
えっ?
おめでとうございます。
あなたは オトナ高校の 記念すべき第一期生に→
選ばれました。
いや いや いや…。
それじゃあ まるで 僕が経験がないみたいな…。
過去3回の アンケート調査において→
あなたは いずれも 「性経験なし」と回答しています。
いや アンケートって 匿名が前提でしょう?
未経験者をあぶり出すために→
アンケート用紙には 透かし番号を 入れさせて頂きました。
けど アンケートに真実を書くとは 限らないわけで。
我々の調査では 過去3年間 女性と交際した形跡は皆無。
中学の同級生の佐藤くんからも→
童貞である事を相談されたとの 証言を得ております。
ちょっ… ちょっと待ってくださいよ。
国が僕のプライベートを 調べてたっていうのか?
そんな馬鹿な法律あるか!
こちらが 入学召喚状です。
召喚状?
「荒川英人殿」
「貴殿に2017年10月から オトナ高校への入学を義務付ける」
「少子化対策として緊急発議された 第二義務教育法案は→
今朝未明 与党の強行採決によって 衆議院を通過し→
参議院でも可決される見通しです」
けど 驚いたねえ。 あの大胆な少子化対策にはさ。
あっ 第二義務教育法案ですね。 私も驚きました。
あれで 英人くんのような人材が 生まれてくれるんなら 歓迎だが。
権田部長 いい部下をお持ちで うらやましい限りです。
ありがとうございます。
二階堂専務 例の件も 心してかかりますので。
楽しみにしてる。 それじゃあ。
失礼します。
権田部長 例の件って?
英人が提案した ニューヨークプロジェクトに→
上からゴーサインが出た。
来月から 本格的な会議が始まる。
すごいじゃないですか 英人さん。
一世一代の大仕事になるな。
おめでとう。
あっ… はい。
どうした? 心配事でもあるのか?
あっ いえいえ 何も。
まさか 飛び降りようなんて 考えてませんよね?
なんで あなたが ここに…。
監視ですよ。
特にプライドの高いエリートは 心配でね。
まあ 楽しみましょうよ。
毎週 月 火 水の3日間を 学校で過ごすのも→
優雅な話じゃありませんか。
週3日も?
大きな仕事が控えてるんです。
会社には なんて言えばいいんですか?
会社には 極秘国家プロジェクトに 選ばれたと言い含めますので→
プライベートの秘密も守られます。
むしろ 国家に選ばれた出来る男として→
社内評価も うなぎのぼり!
行かなくて済む方法は ないんですか?
第二義務教育法案 第9条には→
入学手続き日までに 卒業条件を満たした者は→
入学を免除するとあります。
卒業条件って? 性経験をする事。
つまり 平たく言えば 童貞を卒業という事ですね。
つまり 経験すれば 入学は免除?
チャレンジなさるおつもりで?
だって そりゃあ…。
出来ますかね?
30年間 出来なかった あなたに。
出来なかったんじゃない。
本気で やろうとしなかっただけです。
では 今月末 9月30日の 入学手続き日までの1週間で→
めでたく 卒業条件を満たした場合は→
ご一報ください。
あっ 申し上げておきますが…。
風俗関係での体験は 対象外ですよ。
《秘密を守ると言われても バレない保証が どこにある?》
聞きました? 例の噂。
まさか あの英人くんが…。 ねえ。
おっ 噂のチェリーボーイの お出ましか? ハハハハ…。
《ダメだ。 考えただけでもおぞましい》
《なんとしてでも 今月中に…》
《でも 出来るのか? 僕に》
《僕より はるかに 学力や知能の劣る→
一般庶民の大多数が 経験してる事なんだ》
《マーケティング戦略と クライアント対策さえ→
間違えなければ…》
《でも 誰と?》
「メール読んで貰えました?」
「お返事貰えなくて寂しいです」
「あ ご迷惑でしたら 仰って下さいね」
《これぞ 天の助け!》
《僕を救ってくれる 運命の恋》
「迷惑なんて とんでもありません」
「君と出会えた事は 人生の宝です」
「今すぐにでも会いたいです」
「僕はビッグプロジェクトを任されて 忙殺されています」
「でも 君のためなら なんとか時間は作ります」
「今週 食事でも どうですか? いかに世界経済が混迷しようとも→
人には食事という栄養補給行為が 必要なわけですし→
僕らの未来について 語り合いましょう」
「英人です。 メール読みましたよね?」
「一時間たったけど 返事はまだですか?」
「スケジュール調整の為にも→
ナルハヤのお返事待ってます」
「また一時間たちました」
「重要な会議中かな? ひょっとしてスマホのバグとか?」
「多忙な僕に遠慮しているなら 必要ないですよ」
「今は 君が最優先だから」
失礼します。 ニューヨークプロジェクトの 現地資料に関しては→
先日の調査会社に 発注しましたので。
ああ… ありがとう。
「返信ありがとうございます」
「とっても嬉しい」
「9月30日 土曜はいかがですか? お忙しいですか?」
《9月30日って→
入学手続き日 ギリギリじゃないか》
《絶対に負けられない 戦いになるな》
大丈夫か? 英人。
心配事は解消したか?
あっ はい。 なんとか解決に向かってます。
ああ…。
《最も予約の取れない 人気レストランに コネ入店して→
そこから 都内最高級の 東京ロワイヤルホテルの→
スイートルームへ。 距離にして417メートルなら→
僕の預金額と運用成功談で 感心させているうちに→
あっという間に到着だ》
《ダメだ。 このラブホ街は頂けない》
《無駄な警戒感を抱かれたら→
このプロジェクトは破綻するぞ》
《だったら ホテルのフレンチで 食事をして そのまま部屋へ》
《けど 最初から 部屋を予約していたとなると→
体目当てのゲス男みたいだし…》
《うまい理屈が必要だ》
《お土産も 接待人気ナンバー1の 月餅で完璧!》
ありがとうございました。
≫(さくら)こんなものまで 頂いてしまって すいません。
いやいや とんでもない。
《なんで? さくらちゃんと権田部長が…》
《しかも 同じ月餅をお土産に!?》
どうした? ううん なんでもないです。
《なんなんだよ? これは》
《まさか 今頃 部長の餌食に…》
《僕の運命の恋の立場は?》
もしもし どうしたの?
ごめんなさい 突然。
実は 今日 権田部長が 会社の前で 私を待ち伏せしてて。
何かあったの?
これからも 調査の仕事は欲しいよね? って。
パワハラまがいに食事に誘われて→
たくさん飲まされた揚げ句に 妙なお菓子まで渡されて。
《嘘? 月餅アウトなの!?》
それで さくらちゃんは今…。
「やんわり逃げてきました」
だから 週末 私と会う事は 内緒にしてほしいんです。
わかった。 大変だったね。
土曜日 楽しみにしてるよ。
うん 私も。
《大丈夫だ…》
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