نخستین 150 خط.
(物音)
よう メグミちゃん。
(メグミ)は~い?
過ぎたるは及ばざるがごとしって 言葉 知ってるか?
知らないで~す。
おめぇさん 若ぇんだからさ そんなに いろいろ→
ゴテゴテ塗りたくること ねえんじゃねぇのか?
何 言ってるんですか。 このくらい デフォルトですよ。
タレントとか モデルなんか メークに2~3時間→
かけてるんじゃないですかね。
でもさ… 男が スッピンの顔 見たら びっくりするんじゃないのか?
大丈夫。
大概の男は 私の胸しか覚えてないんで。
そんなもんかね。
(メグミ)そんなもんっす。
(村木)うわっ…。
ああ…。
来ます。
ああ。 は~い。
(ノック)
(矢部)便利屋と探偵ってのは どう違うんだ?
まあ そうですね。 たいした違いは ないんですが→
うちでは… ゴミ屋敷の掃除や→
代理の墓参りは やりませんが→
逆に 便利屋さんは人捜しを やらないんじゃないですか?
ああ。
何かご用でも? あ?
用があるから 来たんじゃねえか バカ野郎!
なんだテメエ この野郎! おかしな髪型しやがって おい!
あ~ まあまあまあ…。
お話をお伺いしましょう。
ああ…。
俺はよ… まあ 見たらわかると思うが→
組のもんだ。 そうでしょうな。
おお 高城組 老舗ですな。
組長 お元気ですか?
なんだよ 組長知ってんのかよ?
ええ まあ こんな稼業をやってますと→
いろんな方面の方々に ご挨拶が必要になるもんで。
もっとも ここ10年ぐらい お会いしてないな。
まあ その組長がよ→
体がよくねえっていうか。
近いうちって… いや 違う。
あの その あれだよ。
まもなく… ああ 間違えた。
死期が迫っている?
あっさり言うんじゃねえよ バカ野郎!
で?
で どうしても→
死ぬ前に食いたいもんが あるって言うんだよ。
ほう。 何が食べたいんですかね?
((ワンタン…。
ワンタン ですか?
あの… 喋楽のワンタン…。
喋楽の ワンタン…))
なんでも 戦後の浅草の外れにあった→
喋楽って中華屋のワンタンの味が 忘れられねえらしいんだよ。
でも その喋楽は→
バブルの頃の再開発で 地上げ食らって もうねえんだよ。
なるほど。
でもよ ワンタンなんて たいした食いもんじゃねえだろ?
それに味だって そんなに違わねえし。
だから 何人か中華屋呼んで 作らしたんだけどよ…。
((違う!!
下げろ!
下げろ!
アチチッ アチッ!! おい 下げろ! 下げろって!
帰れ!!
すみません))
それじゃあ ってんで→
ミシュランとやらで 星をとったとかいう→
高級中華の料理人を 連れて来たんだけどよ…。
((それでは スープの食材より ご説明させていただきます。
短角牛のすね肉。
世界三大ハムの一つ 金華ハム。
青森シャムロックの丸鶏。
築地で けさ一番の高値がついた 長ネギと ショウガからとりました。
ワンタンの具は気仙沼産のフカヒレ。
宮内庁御用達 平田牧場の 純粋金華豚の挽肉。
干し貝柱と 江戸前才巻エビ。
いずれも 全国の市場より取り寄せた→
最高級の素材でございます。
どうぞ ご賞味ください。
いかがでしょうか?
あっ ああっ!!
ああ アツツ!!
これじゃねえんだよ! 喋楽のワンタンを食わせろ!
組長 落ち着いてください。 落ち着いて 落ち着いて…。
死ぬまでによ 喋楽のワンタンを食いてぇよ…。
はい 必ず!))
で 私どもに その喋楽の店主を 見つけ出してほしい と。
うん。
う~ん… 雲を呑むと書いて ワンタン。
文字通り 雲を掴むような ご依頼ですが→
やってみましょう。
金に糸目はつけねえ! 100万でも 200万でも出す!
だから 急いでくれ!
うちの この村木は 優秀な調査員でしてね→
それほど お待たせせずに 見つけ出すでしょう。
おお なるほど! どうもありがとう。
また何かわかったら教えてくれ。 はい じゃあ。
確かに 喋楽って店が→
観音裏あたりに あったらしいんだが→
今は 喫茶店か なんかになってるらしい。
明日 行ってみてくれ。 わかりました。
あっ ありましたよ チョウラク。 え?
「浅草 チョウラク」で検索したら 一発で出てきました。
「えっと おそらく 昭和40年代から→
浅草の凋落は 始まっていたはずだ。
いくら スカイツリー効果で 観光客が増えたとはいえ→
浅草の凋落は 止めることはできない」。
その凋落じゃねえよ。
喋るに楽しい 「喋楽」だ。
だいたい 店に その凋落なんて→
景気の悪い名前 つけるわけねえだろ アホ!
じゃあ 私 ここより もっと超ラクなバイトに行きます。
お疲れでした。
あっ たまには 店に来てくださいね。
フッ ケツとおっぱいばっかり 立派に育ちやがって。
アイツ 今 何のバイトやってんだ?
さあ?
ガールズバーは辞めて おっぱいパブとか 言ってましたけど。
ふ~ん… でも まあ→
昔の味を懐かしんで 死んでいくヤツより頼もしいわな。
確かに。 ハハハハ。
できれば単独のほうが 行動しやすいんですが。
うるせぇ! どうも お前は信用ならねえ。
まぁ あと暇だし。
そうなんですか? あ?
おい で どうすんだよ どうやって調べるんだ?
おい!
私 雑誌の編集を している者でして→
このたび この浅草界隈の昔の様子を→
コンピューターで再現するという 特集をやっているんですが→
どなたか かつての浅草の路地裏を 知っている長老といいますか→
そういう方をご存じないですか?
う~ん…。
あっ ちょっと待ってて。
お~い 北村のじいさん まだ生きてたっけか?
おい いいのかよ?
は? あんなデタラメ言ってよ。
下町の人間は保守的ですが マスコミには弱い。
テレビ局 新聞社 出版社には 心を開きやすい。
ふ~ん。
(北村)喋楽ねぇ 懐かしい名前だ。
なんとか ご主人と連絡を 取りたいと思っていまして。
でもさ たいした店じゃなかったよ。
味もさ まぁ普通だったしね。
そうですか。
もともとね ロクでもねえ男だったんだよ。
No comments yet. Be the first to leave one.