200 baris pertama.
春色の汽車に乗って
おい 陽介!
お前 何だよ その髪! 触るな
あっ 須藤さん そろそろ始まりますが
最初の子がまだ来てないんです。- 連絡は?
ありません。 もう少し待ってみましょうか。
いい そんなヤツは どうせダメだよ。
自由。
愛。
存在。
夢。
僕の夢は 正しい答えがあるならば
いつか その答えを知りたい。
それが人としての 生きる夢みたいなものかな
尾崎豊 16歳です。
これか 昨日すっぽかした子は。
前代未聞だな。
でも ルックスなかなかいいじゃない。
売れるわよ この子。
ちょっと 親に反対されまして
出ることが できなかったんですけれど…。
大変ご迷惑をおかけしました。
なんで 反対されたかと言いますと
最近 僕の学校で 文化祭があったんですけれど
ちょっとした喧嘩をしまして 1週間 停学になりまして
その文化祭に 出られなくなってしまって…。
武勇伝は そのへんで結構。
歌を聴かせてもらおうか。 -はい
安いダンスホールは
たくさんの人だかり
陽気な色と音楽と タバコの煙にまかれてた
ギュウギュウづめのダンスホール
しゃれた小さなステップ
はしゃいで踊り続けてる
おまえを見つけた
子猫のような奴で 生意気な奴
小粋などら猫ってとこだよ
おまえは ずっと踊ったね
須藤。
はい
暗いから お前のタイプだな。
あら 気に入らないなら 私が貰うわよ。
いや 歌詞がどうも… 16歳の歌じゃありませんよ。
ごちゃごちゃ言うな。 お前がやれ。
結局 僕は オーディションに合格した 尾崎を担当することになり
気乗りしないまま 初顔合わせの日になった
尾崎豊君ですね?
尾崎です。 よろしくお願いします。
担当の須藤です。 どうぞ そこにかけて。
あの… この度は選んでいただき ありがとうございます。
選んだのは上司でね。 僕は…。
あのさ 『ダンスホール』って歌だけど
あれホントにキミが書いたの? -はい
16にしちゃあ 随分 大人びた歌だね。
僕が書きました。
キミさ 体力ありそうだから
芸能人水泳大会とか 出てもらおうかな。
僕は そんなことは…。
冗談だよ 冗談。
なんだ 冗談ですか。
どう? 学校楽しい?
停学中なので行ってません。
家族は両親と 兄弟いんの? -います。
じゃあ 今日は このへんで。 また来週土曜。
あの 須藤さん! -何?
僕は 本当に 自分が思っているような音楽を
思っているように やれるんでしょうか?
やれるよ。
やれますか? -うん。
よかった。
じゃあ 失礼します。 お疲れさまでした。
礼儀は正しい 生真面目。
その反面 喧嘩 停学 根性焼きの痕。
僕には理解できない少年だった。
いったい どんな家庭で育ったのか
ただいま。 -おかえり。
母さん! 何やってるの 寝てなきゃダメじゃんか。
今日はユタちゃんが オーディションに合格したお祝いだもの。
今夜は 我が家 特製のこれ。
ダメだよ。 無理しないようにって 医者に言われてるんだから。
大丈夫。 嬉しくてね 病気なんて吹っ飛んだみたい。
いつも心配かけて ごめんね。
うまそう!
母さんの餃子は 世界一だもんな。 -でしょ?
豊 ちょっと来なさい。
お前 停学中じゃないか。
オーディションに受かったからって 浮かれてる場合じゃないだろう。
わかってるのか?
夢みたいなことばかり考えて。
豊 お前はいい大学を出て いい会社に 就職しなさい。
しっかり地に足をつけて やっていくことを考えなさい。
こんにちは。
尾崎は土曜日ごとに 通って来るようになった。
しかし 僕は 相変わらず 興味がわかなかった
音楽始めたきっかけ何?
小4のときに 井上陽水さんの 『氷の世界』を聴いて
感動したのがきっかけです。
小4で陽水さん? 『氷の世界』。
じゃあ 好きな歌手は陽水さん?
今は ジャクソン ブラウンです。
Amen Say it again Amen
この歌はさ ジャクソン ブラウンが 奥さんの死を乗り越えて
リリースしたんだってね。 - あっ はい。
ヒーロー ヒーローになるとき ああ それは今
最近 どんな本読んだ?
エーリッヒ フロムの 『愛するということ』を読みました。
エーリッヒ フロム?
高校のとき読んだけど 僕でもよくわかんなかったな。
尾崎君にとって 愛って何?
愛するということは 自分を捨てることだと思うんです。
求めることは 失うことだし。
約束することは破ることです。
だから やっぱり 究極の愛っていうのは
自分を捨てることから
出発しなければ いけないんじゃないでしょうか。
ちょっと難しく 考えすぎるんじゃないの?
歌ってさ もっと等身大の言葉で つくったほうがいいよ。
17歳になったばかりの 今の尾崎君じゃなきゃ書けない歌。
あると思うよ。
ユタちゃん 愛は 議論するもんじゃないでしょ。
ったく 中学の頃と 変わってないな。
須藤さんてさ 東大出のエリートで 議論するとおもしろいんだよ。
へぇ 東大出の大人と 議論するの?
須藤さん 浜田省吾も 担当してんだぜ。
すげえ! 会ったことある? 浜田省吾。
当たり前だよ。 -いいなぁ!
じゃあ 松田聖子は?
昨日も帰りにバッタリ会って。 -えっ!
こっち見て笑ってたよ。
ホントかよ クソッ 俺も会いてえ!
ハハッ いつでも会わせてあげるよ
ユタちゃん もうすぐ有名人だね。
へぇ 須藤さんも 啄木好きなんですか?
僕も好きです。 父が短歌をやってる影響で
僕も読んだんですけど。
いいですよね 啄木。
この日の尾崎は明るく饒舌で
先日の重苦しい沈黙とは まるで別人。
どちらが本当の姿なのか 僕は戸惑っていた
どうぞ。
サンキュー。
父は 尺八とか空手もやってて。
教えてもらいましたけど 厳しくて 怖かったです。
腰が入ってない!
日本男児たるもの 人前で涙を見せちゃいかん!
はい。 - 続けろ。
兄は ものすごく優秀で 我が家の期待の星。
僕は 怒られてばっかりでした。
じゃあ お父さん まだまだ怒り続けるぞ。
999割るまでは。
999ですか?
怒るとき 必ずひとつ鉢をわり 999わりて死なまし。
啄木だよ。 -ああ 啄木ですか。
恥ずかしい。
好きだなんて言ったのに。
ようやく尾崎が家族のことを 話すようになり
尾崎家は 厳格な自衛隊事務官の父親。
病弱だが働き者の母親。
5歳上の大学生の兄という 普通の家庭だとわかった。
そんな少年が なぜ あんな退廃的な歌をつくるのか
お疲れ様でした。
なかなか 心を開こうとはしない少年を
5か月経っても 僕は持て余していた
いつになったら デビューできるんだろう。
おい 待ってくれ。
あの 尾崎君だよね?- あっ はい。
やっぱり 俺 安田。 俺も担当 須藤さんなんだ。
よろしく。
尾崎君は 確か去年10月オーディションだよね。
はい。
うん そろそろ 焦ってるんじゃない?
えっ? いえ…。
デビューは まだまだ当分先だよ。
今は アイドルの時代だろ。
フォークやロックは不利なんだよね。
そうなんですか。
俺は もうすぐ2年になるから そろそろだと思うけど。
2年ですか? -うん。
まっ お互い頑張ろう。
何かあったらさ俺にすぐ言ってよ。 力になるからさ。
あっ すみません。 僕 これからバイトなんで失礼します。
バカ野郎!
言いたいこと言って 何が悪いんですか?
何も分かってないんだよな
営業は ひたすら 頭を下げてればいいんだよ。
わかってんのかよ。 いくぞ。
理不尽な押しつけは イヤだ。
口をつぐんで逃げるのも違う。
いいなぁ。
帰りに ステ-キ食ってかないか?
おふくろから小遣い もらったから おごってやるよ。
おぉっ! すげえ!
尾崎 お前も来いよ。
僕 お腹の調子悪いから いいや。
自由。
愛。
夢。
カネじゃない カネなんかじゃない。
何で 飲んだくれの 高校生の歌ばっか書くかな。
いつも酔っ払って 寝転がっているからですかね。
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