200 baris pertama.
魔法を信じるかい
小道具や目くらましは抜きだ
魔法とは 自然を超えた力で 人々の心をつかむこと
小手先の技とは違う
神の恵みの表れだ
ご覧の若きメキシコ男
目も心も 耳もデカかった
楽しさに満ちた音楽は―
人の心から恐れを消し去る
あるのは喜びだけだ
これぞ真の魔法さ
まるでハリケーン
あるいは地震
竜巻かも
世界の根底を揺るがす
スティーヴィー・レイ ジミ・ヘンドリックス
コルトレーン ボブ・マーリー
彼らは自然界の力に たとえられる
斬新な音の響きや 振動によって―
世界の分子構造を 変えてしまうんだ
ある日のこと 父親に誘われて外に出た
家の裏庭だ
夕暮れ時で 何もかもが輝いてた
父は自分の バイオリンケースを開き―
楽器を取り出した
僕をじっと見つめ―
“見てろ 教えたいことがある”
そしてバイオリンに 顎を当て―
弾き始めた
すると鳥がやってきて 枝に止まると…
僕は驚き 目を見開いた
“鳥と話してる!”
〈いくぞ〉
鳥も…
感激する僕に 父は“ほら すごいだろ?”
“鳥と話せるなら―”
“人の心とも対話できる”と
シンディの登場だ
カルロスの妻 シンディ・ ブラックマン・サンタナ
見てくれ
ティフアナは遠い彼方だ
ラスベガス 2020年
きれいね
いつでも始めてくれ
カルロスの姉妹
なんだか怖いな
わが家には ごく自然に音楽があった
どんな時もね
マリア・サンタナ・ ヴリオニス
母が外出を許さないので いつも家でパ︱ティを
掃除機がけが大変だった
ギターの弦を 吸ってしまうこともあったわ
父のバイオリンの弦を吸って 取るのに苦労したりね
週末の夜は いつも 音楽で盛り上がったわ
レティ・サンタナ
メキシコにいた頃―
母は忙しく働いてた
本当に大変な生活だったんだ
僕は言った “母さん”
母は“なあに?”
“いつか母さんに家を買うよ”
“冷蔵庫と食器洗い機と―”
“洗濯機 それに乾燥機も”
母は“あら うれしいこと”
あしらわれたが 本気だった
母は驚くほど 肝のすわった人だった
明確な目標を掲げ 突き進む
神様が着てる物を ギュッとつかんで―
引っ張って おねだりしてる感じだった
“ちょうだい”と
目標の大切さは母から学んだ
これと決めたら追いかける
母は言ってた
“私の人生は子供と料理と―”
“ホセだけ”
父は女性にモテた
カリスマ性のある 魅力的な男だった
父の手を見てくれ
すごく柔らかい
驚くほどに
父は伝統音楽を演奏してた
アグスティン・ララが やってたような音楽だ
僕も父のように 音楽で生きると決めてた
だが父は失踪
もう戻らないだろうと 皆が言ったが―
母は“本人の口から聞くわ”と
“家族を捨てるなら 私の目を見て言わせる”
大した根性だ
子供全員と犬を連れ―
母はアウトランから ティフアナへ
悪路続きで 車で1週間かかった
大勢で砂漠で眠り ひどい食事に耐えた
腐った豆で 何人か食中毒になったが―
母に迷いはなかった
父の滞在先に着くと 女性がいた
明らかに売春婦だ
父が最初に見たのは 僕だった
きょうだいの中で 僕だけを見た
目には怒りと恥辱 恐れの色
父は そのまま 僕らの元に戻った
両親が大好きな子供には 理解できない事態だ
緊張感だけは伝わった
父は深夜に 仲間を連れ帰っては―
母のため しきりに 愛の歌 セレナーデ を演奏
やがて2人の仲は改善し…
絆が深まった
ティフアナの子供時代は どうでした?
私が知っている ティフアナは―
国境の向こうの 手軽な観光地ですが
きっと奥には別世界が
NYと同じさ 最初の印象だけはいい
話題を変えましょう
ティフアナは荒っぽい
別の銀河系から来た人たちが 集まったみたいだ
特に僕が育ったリベルタ地区は 悪臭が漂ってた
まさにスラム街だ
父はティフアナで米国人向けの マリアッチ・ショーに出ていた
演奏ジャンルを変えた
家族を養うためだ
それで僕も 手伝うことになった
考える間もなく―
父から マリアッチ音楽を教わった
マリアッチ音楽は―
クラシックとカントリー音楽 メキシコ民謡の融合だ
父の教え方は怖い
“違う!”と叫ぶんだ
心臓に悪かった
だからバイオリンには ずっと抵抗があった
楽器じゃなく僕の問題さ
カルロスには 単純すぎる音楽ね
最後は必ず“タン タン”
ごめん
母と近所の公園に 行った時―
ハビエル・バティスの バンドが演奏してた
彼が抱えてるギターは―
アンプにつながってた
そして…
聞いたことのない響きに―
UFOを見た気分だった
音色に しびれた
なんて音だ
僕は たちまち魅了された
これを生涯の仕事に しようと決めたよ
“これこそが僕の道だ”と
その後2~3年は ハビエルに ついて回った
彼はレコードを 山のように持ってた
B.B.キング レイ・チャールズ
リトル・リチャード
彼は3人の複合体だ
ハビエルは 僕の最初のヒーローさ
以来 いろいろ聴いた
ジョン・リー・フッカー
ジミー・リード ライトニン・ホプキンス
チャック・ベリー ボ・ディドリー
そして ロボ・イ・メロン
トロピカル・ミュージックとの 出会いだった
キューバやプエルトリコ カリブ諸島の音楽さ
共にバイオリンを 弾いてた父に宣言した
“もうマリアッチは嫌だ”
父は“不良の音楽を やる気か?”
ブルースやロックのことだ
僕は言った “今の環境は最悪だよ”
“床もなく土間だけ”
“臭いも ひどい”
“これ以上 落ちようがない”
父は言い返せなかった
そして“行け”と
ホッとした
勝ち誇った気分だったよ
ティフアナで1番に なりたかった
サンフランシスコでも それにロンドンでもだ
こんな音楽は…
もう勘弁だ
絶対 やってたまるか
一度 国境を越えて 楽器店に行った
店先のギターに 触りたくて たまらず―
夢中で見入ってた
その時 “おい”という声がした
僕を呼んでるとは思わず 無視してたら―
また呼ばれ 振り向くと 3人の水兵がいた
全員 白人だ
“おい この 腐れチリビーンズ野郎”
驚いた
誰に言ってんだ?
知り合いでもないのに
人種差別と無知に 傷ついた―
最初の経験だった
“おい この 腐れチリビーンズ野郎”
がく然とした
不快だったね
父は マリアッチ仲間と サンフランシスコへ
やがて稼ぎが増え 僕ら家族も移住した
僕はドライブインで皿洗いや トルティーヤ作りをした
幸い 店には ジュークボックスが
あれのおかげで 正気を保つことができた
僕は あの街で―
楽園が広がっていくのを 目撃した
音の楽園だ
日々 新しい経験の 連続だった
家には ほぼ帰らず―
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