Pierwsze 200 wierszy.
(波の音)
(ろくろが回る音)
不都合な記憶
(ろくろが回る音)
(サイトウ ナオキ) 休憩でもしたら?
(KYUU(キュウ)の作動音)
(ナオキ)さっき届いたばかりの新茶
(サイトウ マユミ)え?
(ナオキ)ほら (お茶を注ぐ音)
(マユミ)わあ~ いい香り (ナオキ)フフッ
(ナオキ)地球からだからね (マユミ)やっぱり?
(ナオキ)全然 違うでしょ? (マユミ)うん
(ナオキ)置いとくね (マユミ)ありがとう
(英語のアナウンス) 積荷を移送中です
シャトルが到着しました
積荷を移送中です
(耳鳴りのような高音)
(ナオキ)マユミ
(音が鳴りやむ)
フッ
幽霊でも見たみたいな顔してるけど
大丈夫?
フッ… うん
大丈夫
(ナオキ)このあと オガサワラ先生との約束 忘れないでね
(遠ざかる足音)
(ナオキ)どうした?
(マユミ)ごめん
やっぱり メタスペースって まだ慣れなくて
なんか 現実と仮想の区別が つかないっていうか
心配ないよ
カウンセリングは マユミにとっても大事なことだから
(鳥のさえずり)
(セミの鳴き声)
(オガサワラ)恐怖の感覚以外に 何か気づいたことは ありますか?
どんな身体的な症状でもいいので
(マユミ)時々 耳鳴りがして
頭が痛くなります
あと…
息苦しくなったり
(オガサワラ)うん うん うん
軽いPTSDに陥ってしまわれた 可能性はありますね
それが もともとの記憶喪失に 加わって
不安が増幅したんだと考えられます
何かできることは ありませんか?
(オガサワラ) 処方箋を出しておきましょう
リラックスできることを 見つけてください
先生
私の失われた記憶は
完全には戻らないんでしょうか?
マユミさんの記憶喪失は
4年前に地球で起こった 津波が原因です
あなたは その津波にさらわれ 九死に一生を得た
地球をめちゃくちゃにしてしまった 津波については 聞いていますよね?
(マユミ)はい それは聞いています
でも どうして…
その瞬間を 全く覚えていないんでしょうか?
(オガサワラ)私は… それでよかったと思いますよ
(ナオキ)つらい記憶は 忘れたほうがいい
(オガサワラ)今は 未来に進むことに 専念すべき時です
(インタビュアーの英語)
(通訳)きょうは 宇宙移住へと 真っ先に舵(かじ)を切った1人―
SAITO ROBOTICS創設者の サイトウ ナオキさんから
お話を伺います
(インタビュアーの英語)
(通訳)よろしく お願いします
サイトウさん
(ナオキ) こちらこそ
(通訳)ご存じのとおり富裕層のほとんどは すでに地球から脱出していますよね
リングでの生活は いかがですか?
(ナオキ) 軌道上から地球を眺めてると
私たちの世界が いかに貴重な存在であるかを
思い出させてくれます
(通訳)人類の未来は どうなっていくと 思われますか?
(ナオキ)地球は われわれが余暇を 過ごすために たまに訪れることができる―
国立公園みたいな存在に なってくと思います
人類が地球を 一時的に離れるというのは
お互いにとって 悪くない選択肢のはずです
(通訳)本当に 一時的と思われますか?
(ナオキ)われわれは 今 宇宙規模の 環境の変化の話をしてるんです
10年後は無理かもしれませんが
100年 1000年 1万年の単位であれば
いつか きっと 地球に戻れる日が来ます ええ
(通訳) ありがとうございました サイトウさん
(マユミ)わあ~
きれい!
色も塗ったみたいだし
形も完璧
これって ここまで育つのに どれくらい かかるの?
(ピッ ピッ ピッ)
(マユミ)3か月?
(ピーピー)
3週間?
(ピーピー)
まさか3日?
(ピッ)
すごっ
きょうはナオキに 何を作ってあげようかな?
ねえ KYUU 何かいいメニュー ない?
(照明が消える音)
(照明がつく音)
何?
フッ
ガランガル?
(照明がつく音)
ネギ
(照明がつく音)
レモングラス
ああ~
(ピピピ)
(起動音)
うわ~
これと これと…
うん ある
(ピピ)
ああ~
4等分
KYUU 次は?
これ?
キノコ
へえ~
うわ~!
えっ…
ピン?
(エビが跳ねる音) (マユミ)わっ わっ
うわ フフッ
(ナオキ)すごく いい匂い
(ナオキ)うまそう (マユミ)うん
(ナオキ)もういいよ ありがとう
(マユミ)いい? (ナオキ)ありがとう
(マユミ) 昔と同じ味だと いいんだけど
(ナオキ)絶品! このトムカーガイ
前より おいしくなってるかも
(マユミ)ほんとに? (ナオキ)うん
(マユミ)よかった
(ナオキ)あ~ おいしい
(マユミ)体で覚えたことって 案外 忘れないものなの
陶芸と一緒
(ナオキ)でも こうやって マユミの作った料理を
マユミのお皿で食べられるなんて 考えもしなかったよ
フフッ
ナオキって ほんとトムカーガイ 好きだよね
(ナオキ)でもさ
最初 俺 辛いもん 苦手だったんだけど
マユミのおかげで 好きになったんだよ 覚えてる?
そうだった ハハハッ
KYUU
ありがと
(ナオキ)何 書いてるの?
(マユミ)ん?
(ナオキ)え?
思い出したことを タイムラインで記憶しておいたら
いろいろ思い出すかなって
(ナオキ)へえ~ なるほどね
(マユミ) ナオキと出会って 結婚して
それで ビーチハウスに引っ越して
で… ここが空白期間
当面の目標は この空白期間を埋めることだな
ねえ ナオキ
私ね…
地球に行ってみても いいかなと思って
そしたら もっといろんなこと 思い出せそうじゃない?
どうかな
今の マユミの体の状態を考えると
あまり いい考えじゃないかもね
それに…
地球で人が住める場所なんて 今は ほとんど残ってないんだし
どうしても また この目で故郷が見たいの
(ナオキ)だったら メタで連れてってあげるよ
えっ!
(ナオキ)また今度ね
オガサワラ先生も言ってたじゃん
“今は過去を振り返ることよりも 未来のほうが大事だ”って
(ため息)
(雨の音)
(ナオキ)ハァ ハァ…
ハァ…
(KYUUの作動音)
(ピーピー)
あっ…
(マユミのタイ語) あ いらっしゃい
ごめんなさい 気がつかなくて
(タイ語)すみません ちょっとだけ雨宿りさせて…
日本の方?
(ピッピ)
はい
大丈夫ですか?
コート そこに掛けちゃってください
ありがとうございます
(マユミ)日本語 久しぶりに話した
(ナオキ)俺も
(マユミ)こんな雨の中 自転車で どちらへ?
(ナオキ)ありがとう
いや 特に行き先はないんだけど
自転車で走り回ってたら たどりついたっていうか…
(マユミ)まさか 日本から1人で?
(ナオキ)いや 日本には戻ってないです
この幼なじみと一緒に
(ピッ)
(マユミ)フッ… いいですね
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