لومړۍ 200 کرښې.
(ナレーション) 瓜生(うりゅう)新兵衛(しんべえ)は⸺
親しき友の父親による不正を 見逃すことができなかった
重役に訴え出たが認められず⸺
故郷(ふるさと)である扇野(おうぎの)藩を 妻 篠(しの)と共に離れることになった
それから8年の歳月が経(た)っている
(刺客)うっ
(刺客)あっ (刺客)うっ
(刺客)うっ うう…
(新兵衛) 今日は冷える 体に障るぞ
夕餉(ゆうげ)には湯豆腐を用意致した
(篠)こうしていると
春を近(ちこ)う感じます
どのような季節にも 風情はございます
苦労ばかりさせてしまったな…
わたくしは おそばにいるだけで 幸せでございます
あなた 袖が…
やはり お家騒動からは 逃れられないのですね
もう一度 故郷の散り椿(つばき)が見てみたい
(新兵衛)散り椿…
あなたに お願いしたいことがございます
わたくしが身まかりましてから
故郷に戻って 成し遂げていただきたいことが…
死なせはせぬ
今は そのような話はしたくない
人は必ず死ぬものでございます
どうか お聞き届けくださいませ
そなたの頼みを果たせたら 褒めてくれるか?
お褒め致しますとも
(せき込み)
(住職の読経)
(十蔵(じゅうぞう)) 藤吾(とうご) 先ほどから何をしているのだ
(藤吾) 先月の大雨による山崩れで
いかほど田畑が潰れたかを 記しております
真面目なものだな
8年前 切腹を強いられた兄貴の 二の舞はしない ということか
十蔵殿
兄は潔く自決され 坂下(さかした)家を守りました
何も恥じるところはありませぬ
いやいや そうであった
それに この新田開発の件は 采女(うねめ)様のご意向でもあります
榊原(さかきばら)采女ねえ
この扇野藩を より良くできるのは
若殿の側用人(そばようにん)となられる 采女様のほかにございません
それはどうだろうな
この藩が潤ったのは
城代家老 石田(いしだ)玄蕃(げんば)様の手腕があってこそ
しかし 農民の暮らしは 少しも楽になってなどおりませぬ
新田を作り 豊作が民に渡ってこそ 豊かになるので…
(馬のいななき) (藤吾)危ない!
(馬子)止めてくれー!
(主人) ああ… ありがとうございます
(いななき)
(いななき)
(新兵衛)どう どう どう…
(馬子)すいません すまねえことでございます
ありがとうございました よし
かたじけない
それがしは 郡方の坂下藤吾と申す
瓜生新兵衛…
なかなかの身のこなしであった
失礼する
今更 舞い戻るとは…
早々に知らせねば
(うぐいすの鳴き声)
(采女)江戸より 明くる年 3月に参られる若殿
千賀谷(ちがや)政家(まさいえ)様は 新たなご改革をお望みです
民を案ずることこそ 武士の務めかと
(玄蕃)采女 いいかげんに 新田開発など諦めぬか
ご家老 新しい田畑を作ることこそ 民を救うことでございます
(玄蕃)新たなる開発など 扇野藩の財政を危うくし
混乱を招くことになるだけだ
田中屋(たなかや)が独占販売しておる⸺
扇野和紙の利益があればこそ
我が藩の財政がもっておるのだ
しかし
ご家老たちだけが その恩恵を 受けているのは見逃せません
亡き先君の代わり⸺
若殿の 初めての お国入りを 頼みにしておるのであろうが
そうはいかんぞ
弟君もおることだからな
これは聞き捨てになりませぬ
若殿の身に 何か起こるとでも言われますのか!
バカな!
そんなことは言ってはおらん
よいのか
かつて四天王と呼ばれた お主の友は もうおらぬのだ
瓜生新兵衛は国を出ていき 坂下源之進(げんのしん)は死んだ
篠原(しのはら)三右衛門(さんえもん)も なぜか おとなしくしておる
お主も…
このまま朽ちてよいのか?
側用人として若殿に仕えるなら
清濁併せのむ器量を示せ
(門弟たちの稽古する声)
(門弟)やっ (門弟)えい!
(門弟)はいやー!
(門弟)えい! (門弟)うっ
(門弟)えーい! (門弟)やっ
(十五郎)稽古 やめい!
稲葉(いなば)! 相手になれ
(稲葉)はっ
(稲葉)お願い致します
うわっ
(十五郎)それまで!
さすがは“鬼の新兵衛”
やっ!
(小声で) 聞きたいことがあって参った
奥で茶でも
まさか お戻りになるとは
それで ここへは何用で?
8年前の件を 掘り起こすおつもりか
瓜生殿
貴殿には榊原平蔵(へいぞう)殿の殺しの 嫌疑がかけられていることを⸺
お忘れになったわけでは…
殺してはおらぬ
わしは不正を訴え出ただけのこと
(十五郎) 世間は そうは見ておりませぬ
ご家老もまたしかり
勘定方頭取であった榊原平蔵殿が
田中屋惣兵衛(そうべえ)から 賄(まいない)を受け取ったと糾弾され
屋敷に戻る途中 何者かに斬られた
私が存じているのは それだけです
斬り口は?
存じておろう
遺体を見た父上は斬り口を見て
平山(ひらやま)道場の四天王だけが使った技
噂(うわさ)に聞く “蜻蛉(かげろう)斬り”ではないかと
つまり 貴殿と⸺
源之進殿 三右衛門殿
そして采女殿
邪魔をした
まだお答えいただいておりません なぜ扇野藩に戻られた?
死ぬべき時と場所を見つけにな
瓜生殿
ここへ泊まっていかれては どうです?
亡くなった父も 喜んでくれるでしょう
新兵衛が戻ってきただと!
確かでございます
あやつが…
おい!
あやつから目を離すな
(十蔵)承知しました
厄介(やっかい)な男が舞い戻ってきおった
京で始末しておれば…
(弥助(やすけ))あっ すいません
はい よいしょ
ヘヘヘヘ…
(里美(さとみ))おかえりなさいまし
山回りの途中で 瓜生新兵衛に会いました
(里美)新兵衛様が?
姉上もご一緒でしたか?
いえ 一人でした
そうですか…
新兵衛様はどちらへ?
存じません
瓜生殿は 藩を捨てて出ていった身 関わらぬ方が坂下家のためです
藤吾
(新兵衛)御免 昨日は失礼した
新兵衛殿…
(新兵衛)里美殿
お久しゅうございます
(藤吾)瓜生殿
姉上より 昔の話も いささか聞いております
早々に藩を立ち去られた方が よろしいのでは
さような失礼なことを 申してはいけません
我が家は 兄上の死後
何かと あらぬ噂(うわさ)を 立てられてきました
用心が肝心です
行ってまいります
藤吾 戻りましたら 改めてご挨拶をしていただきます
(弥助) 藤吾様 お忘れ物でございます
あの厄介者が戻るとは
(美鈴(みすず)) 藤吾殿 どうかなさいました?
朝早くに参り 申し訳ござらん
三右衛門殿にお会いしたい
どうぞ こちらへ
(龍太朗(りゅうたろう))えい! えい!
えい!
えい!
えい…
ご登城前に失礼の段 申し訳ござらん
(三右衛門) 新兵衛のことで参ったのであろう
ご存じでしたか
瓜生殿は 上役の不正を重役方に 訴えたあげく この国を出た
それは誠のことでしょうか
(三右衛門) 知れば そなたの身のためにならぬ
(藤吾) 関わるつもりは毛頭ございません
しかし 仮にも身内のことゆえ この先のことを思えば…
(美鈴)龍太朗 (龍太朗)はい
新兵衛⸺
采女⸺
そなたの兄 源之進
(源之進) やあ! やあ! そなたの兄 源之進
(源之進) やあ! やあ!
このわしも平山道場に通っていた
(三右衛門)とう! このわしも平山道場に通っていた
このわしも平山道場に通っていた
合わせて“四天王”と言われ 固い絆で結ばれておった
稽古の帰る道すがら 坂下家へは よく集まったものだ
篠殿 里美殿という 美しいお二人がいたからな
わしの見たところ いずれ采女は⸺
No comments yet. Be the first to leave one.