لومړۍ 200 کرښې.
(カーナビ)およそ700メートル先 材木町(ざいもくちょう)を左方向です
(スイッチを入れる音)
(パーソナリティー) そんなわけで 牡牛座の方
しばらく おとなしくしといたほうが
ええかもしれません
続いて双子座の方
ツイてますよ
西に吉あり
旅行は関西とか九州とか 西のほう 行ってみてください
名前に西がついた人と 何かするんもええんとちゃいますか
何かって何ですやろ?
何かって何ですやろ?
(携帯電話の着信音)
(携帯電話の着信音)
(携帯電話の着信音)
続いて蟹座の方 油断大敵です
(則夫)はい
(陽子)いまりに会えたー?
あのさ…
(陽子)会いたがってたじゃないの
父親の仕事 見せてやってよ
仲良くやってね 頼んだわよ
勝手だよな
ああ 材木町か…
(則夫) いまり 何の勉強してんだ?
(いまり)え?
(則夫)いや 何の勉強してんだ?
(いまり) 親みたいなこと言うんだ…
(則夫)西に吉ありか
いまり 一番上のボタン締めとけ
(いまり)は?
(いまり)えっ 私も行くの?
(則夫)相手が油断する
(いまり) 相手が安心するって言ってよ
(則夫)シーッ! (いまり)うん?
(則夫)シッ!
(佐輔)何ですの? おたくら
(則夫) あっ すいません こちらの…
(佐輔) セールスやったらお断りでっけど
(則夫)あっ いやいや 逆です逆 あの…
(佐輔)うん? (則夫)失礼 私あの…
こういう者でございまして あの…
ちょっと蔵の中を拝見させて いただきたいなーと思いまして
(佐輔)古美術? (則夫)はい
あっ 娘です あの 見習い中でして はい
どうも
(佐輔)んっ どうぞ
すいません お邪魔しまーす
失礼いたします お邪魔いたします
(則夫)立派なお庭ですね へえー
(佐輔) けったいなもん 夢中になって
お嬢ちゃんとえらい違いで
(いまり)え? ハハハ (則夫)うちのも同じですよ
(佐輔)しばらく開けてないんで ホコリ臭い思いますけど
(則夫)お邪魔します (佐輔)どうぞ
(則夫)あっ これお借りします (佐輔)はい これお嬢ちゃん
(くしゃみ)
(則夫)うわっ すごい (佐輔)上 見ます?
(則夫)あっ いいですか お邪魔しまーす
(則夫)ほおー
(佐輔)オヤジの道楽ですわ
ただの土くれに なんぼ つぎ込んだんか
(則夫)えーと
(佐輔)まあ 見たってください
私は骨董のことは よう分からんので
(則夫)はい 拝見いたします (佐輔)どうぞ
(いまり)すいません どうも ありがとうございます
(佐輔)はいはい
高麗(こうらい)茶碗 銘(めい)「蓑虫(みのむし)」
(いまり)みのむし? (則夫)うん
(則夫)よいしょ
この器を愛した 松平不昧(まつだいらふまい)が名づけた
(則夫)よいしょ (いまり)何これ?
(則夫)ちょっとバカ 簡単に… 簡単に触るんじゃないよ お前
(いまり)うーん
(佐輔)あの蔵で カフェでもやりたい思てね
もう蔵ごとさらえてもうたら 助かるんですけど
では 車に載る分ということで
そうですか… ハハッ
1,000万?
(則夫)1,000万? (佐輔)ええ
(佐輔) これ1つでも車1台買えるて オヤジ言うてました
これはどちらで?
樋渡開花堂(ひわたりかいかどう)いう店です
ひわたり…
まあ この辺りでは 名の通った老舗です
では こちらだけ 譲っていただけますか
これでカフェオレでも飲みます
(佐輔)カフェオレ? (則夫)ハハッ
柴田勝家(しばたかついえ)が織田信長(おだのぶなが)から 賜ったことから
“柴田”と名がついた 青井戸(あおいど)茶碗
国の重要文化財にも 指定された名物
…に 大変よく似せた茶碗です
ハハッ ちょっと拝見します
こう ろくろ目の出方も 色合いも
もう この角度から見ると 写したように似てます
井戸(いど)茶碗独特の風合いや
梅花皮(かいらぎ)もきれいに出てます
おそらく作者は 図録か何かを見て マネたんだと思います
カイラギて…
ああ この部分ね これ これを高台(こうだい)っていうんですけど
この周りちょっと ブツブツしてますでしょ
ちょっと触ってみてください これ
これが梅花皮
まあ ただ この胴の汚れ方が不自然すぎる
わざとシミをつけて汚して 新しいものを古く見せてるんです
はい
焼物(やきもの)の世界では 写(うつ)しとか本歌取(ほんかどり)といって
名物に似せることは 珍しくありませんし
まあ 写しであっても 名のある陶工の写しだったり
来歴のあるものなら 高い値がつくこともあります
しかし―
これは時代をかたった まがいもの
残念ながら正真正銘の贋物
ニセモンです
ニセモン…
(則夫)いただきます
(ピエール)柴田の写し損ないか
ピエールなら いくらつける?
あんたは いくら出したん?
25,000
なんぼで売る気や?
チャールズじゃないの?
チャールズ… え? チャールズ? チャールズ… 誰がチャールズ?
今はな ロード・チャールズ・ スペンサーいうねん
(則夫)え? (ピエール)イギリス貴族や
(則夫) もうピエールでいいだろうがよ だから いくら出す…
お前 どうして分かったの?
(いまり)ハンカチ
(則夫)ハンカチ?
(いまりとピエールの笑い声)
よく気づいたなあ
(男性店員) ありがとうございました
(男性店員)拝見します
5,000円でいかがでしょう
5,000円で仕入れたものが
売る時には 55万に化けるわけですか
は? あの失礼ですが…
失礼しました ヘヘッ
私あの… こういう者です どうも
(男性店員)カワウソ? (則夫)ええ
これ うちのお客さんが こちらで購入されたそうで
まあ 道具屋が道具屋をだますのは 駆け引きですけど
素人をだますのは詐欺です
(2人の笑い声)
(樋渡)ああ どうもどうも ちょっと引っ込んどって
(男性店員)ああ すいません
はじめまして どうも 亭主の樋渡と申します
(則夫)ああ どうも (樋渡)ああ どうも
(いまり)こんにちは (樋渡)おお そうですか
お客さんに いちゃもんつけて 安う買いたたいて
うちにも いちゃもんつけて 高(たこ)う売ろうという
そういう腹づもりでっか えっ
(則夫)いや 別に (樋渡)何です?
(則夫)いや 別に (樋渡)何です?
(来客チャイム)
(来客チャイム)
(来客チャイム)
(棚橋(たなはし))ああ
(来客チャイム)
織部(おりべ)のええのんが入ったって 電話もうたが
(男性店員)はい (則夫)棚橋清一郎(せいいちろう)…
ええ もうテレビに よう出てはりまっしゃろ
よう来てくらはりました 先生
(棚橋)うん (樋渡)あの… すんまへん
こちらの持ってはるあれ いくらぐらいでっしゃろ?
(樋渡)ちょっと見てくれはっか (棚橋)ああ
ああ ようできてますなあ
(樋渡)さよか (棚橋)ええ ははあ
(棚橋)梅花皮の出方も結構や (樋渡)ほう
(棚橋)5,000円 (樋渡)5,000!
まあ 青井戸茶碗いうことで
その おいどに色つけて 5,500円
ハッ!
もう先生 敵わんな もう よう うまいこと言わはるわ
まあま こういうのがな テレビで受けますねや
(樋渡)ああ さよか
(棚橋)ああ これか ふんふん ふん
棚橋先生は 国立博物館の鑑定も 任されてはりまんねや
いやあ…
(則夫)そうですね (樋渡)ええ
でも その経歴に 欺かれることもある話で
こちら そういうご商売も お上手だとか
あのドケチの絹田(きぬた)はん
そんなもん茶碗1個をね 55万で あんた
そんなん買いますかいな もうねえ
1万に値切らはりましたんですわ
まあ 55万で売ったら大もうけです
けどね 1万円やったら サービスと違いますか
(棚橋)その箱 よろしいなあ (樋渡)は?
ああ 江戸の大名道具 几帳面箱や
(樋渡)ほう
茶碗入れたら引き立ちまっせ
(樋渡)さよか
そしたら あの こ… この箱にね 2万出すよって 2万
はるばる 来てくれはったんやからね
(いまり)えっ エヘヘ… (棚橋)社長 気ぃつけなはれや
(樋渡)へえ
カワウソは若い娘に化けて
人をだまくらかすって 言いますさかいなあ
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