The first 198 lines.
(猫猫(マオマオ))まるで 虫の音みたいだ
)猫猫も キツネのお面 つけてね
さっき 自分で塗ったやつ
うん
まなじりを染めるのは 赤が定番なのに
緑を塗るなんて変わってるな
何か タヌキみたい
(子翠)え~ 猫猫だって 猫みたいだよ
(猫猫)髪が邪魔で...
(子翠)結び直してあげるよ
座って
う~ん...
何か もの足りないなあ
髪紐(かみひも)だけじゃ さみしいよね
別にいいけど
私のかんざし 貸してあげる
クモの巣の形のやつ かわいいんだよ
あっ かんざしなら 一応...
これでお願い
へえ
猫猫 いいの持ってるねえ
(猫猫)もらいものだけどね
(子翠)ねえ
これ ちょうだいって 言ったら くれる?
(猫猫)う~ん...
んん...
ダメ
チェッ
(猫猫)黙ってればいいんだけど
壬氏(ジンシ)様 妙に表情を読むのが うまいんだよな
まあ そんな心配する前に
都に帰れるかどうかも 分かんないんだけど
はい できた!
ありがとう
祭りは 里の外にある社でやってるんだ
さあ 行こう
(子供たちの笑い声)
(猫猫)たいまつの明かりのせいか
本当にキツネの群れに見えてくる
-(子翠)別世界みたいだよね -(猫猫)うん
(子翠)不気味じゃない?
(猫猫)まあね
隣にいるのは 緑のタヌキだけど
たまに 子翠と同じように 目の周りを緑に塗ってる人がいる
ほとんど男だけど 何か意味があるのか...
あ...
(子翠) 今年はバッタが多いみたい
だから 今年の祭りは 盛大にやらなきゃいけないんだって
(猫猫)ふ~ん...
厄を払うためということか
鬼灯(ホオズキ)なんて おいしくないよ
(子翠)知ってる
(猫猫)毒があるし 花街では妓女(ぎじょ)が...
(子翠)知ってる
(吐き出す音)
(猫猫)汚い
(子翠)ごめ~ん
ここを上がっていくと社だよ
知ってる?
ここに祀(まつ)られている神様が キツネで
豊穣(ほうじょう)の神と言われる理由
(猫猫)知らない
(子翠)この地方には 昔 ある民族が住んでいたの
そこへ 西から 別の国の民がやってきたの
彼らのことを追い出す村が ほとんどだった中
ごく一部の村は彼らを受け入れた
西から やってきた彼らには 知識があった
畑を豊かにする知識 害虫を駆除する知識
その価値が分かる人たちが 村の中にいたの
すると今度は 豊かになった畑を 奪おうとする者たちが現れたの
それが繰り返されるうちに
彼らは深い森の奥に 里を作るようになった
ひっそりと 隠れるように
(子供たちのはしゃぎ声)
(猫猫) 神様がキツネっていうのは?
(子翠)キツネは 知識をもたらした西の民のことで
この村の先祖でもあるんだよ
ここのキツネは 白いキツネなんだって
お面も 最初は白かったでしょ
色をつけるのは
定住して そこの色に 染まるってことなんだって
ふ~ん...
白いキツネとは 白い肌を表しているのだろうか
それが混血により染まっていく
あれ?
何か聞き覚えがあるような...
この村の男の人はね
色の見分けが つかない人が多いんだよ
(猫猫)えっ
女の人は たまにだけどね
(猫猫)だからか
赤であるはずのまなじりの色を 緑に塗っているのは
子翠も
都へ やってきた王母たち
そして 森の奥深くに 隠れ里を作った白キツネの民
どちらも 祖を同じくする 西から来た民なんだ
猫猫 面は ここに 置いていっていいよ
この面って どうするの?
1年 奉納したあと焼くんだよ
さあ こっち こっち
(人々のにぎやかな声)
屋台も出てるんだ
うん 何か食べようか?
子翠のおごりならね
じゃあ 串焼きとか どう?
(猫猫)カエルに イナゴか...
(子翠)猫猫 どれにする? 私 イナゴ!
この時期のイナゴは ぷっくりしてて おいしいよ
私は鶏で...
(子翠)カエルは?
(猫猫) しばらく見たくないというか...
(子翠)うん?
虫 食べたことない?
(猫猫) 花街の屋台では見かけない
(子翠)んっ!
(吐き出す音)
だから 汚いって
(子翠) 最悪~ バッタが交じってた
どれも同じに見えるけど
全然 違うよ!
こっちは おいしい
(猫猫)違いが分からん
(子翠)あっ!
ねえ 見て 社の中
(猫猫)子供?
響迂(キョウウ)だね
毎年 子供が ああやって 神様の代わりをするの
(猫猫)へえ...
言われてみれば あのガキ 結構 きれいな面を描いてたな
それにしても よく じっと座ってられるな
ひと晩で 何人か交代でやるんだけど
みんな やりたがるよ
いい思い出になるしね
そろそろ 交代の時間じゃないかな?
裏で ちょっと待ってようか
(男の子1)これ 見ろよ
-(女の子)あ~ -(男の子2)何だよ これ
どうしたの?
(男の子1)あっ この稲穂 すかすかなんだ
里長(さとおさ)がくれたやつ
(男の子2)あの人の田んぼ 育ちが悪いところがあんだよな
(女の子)ケチだから
そこから取れたやつしか くれないんだよね
(男の子1)チェッ
(子翠)まあ 今年は諦めな
(猫猫) こっちのが いいんじゃない?
えっ いいの?
わあ~
やったあ ありがとう!
(子供たちのはしゃぎ声)
(子翠)猫猫 いいやつだね
(猫猫)別に 私が持ってても意味ないし
(響迂)ねーちゃん!
俺 どうだった?
いい出来だったよ
(響迂)ヘヘヘッ
母様 見てくれてたらいいのに
ヘヘッ
(猫猫)母親とは 一緒に暮らしてないのか
さあ 去年の面が燃やされるとこ 見に行こっか
なあ 願い事 何書いたんだ?
願い事?
願い事を書いた面が燃え尽きて 天に昇ったら
願いが かなうって 言われているんだよ
書いてねえの?
今 知った
猫猫は そういう迷信 信じないと思って
迷信じゃねえよ!
あれは絶対かなうんだ
だから 去年も丁寧に絵を描いて 願い事 書いたんだ
何書いたの?
言うわけねえだろ
あっそう
ほら 来るよ
響迂も あの役 やりたかったんじゃないの?
(響迂)フン
俺は子供じゃねえから
あんなの 他のやつらに譲ってやるよ
大人だねえ
(猫猫)強がってんなあ
あっ...
響迂の面 あった?
分かんねえ
ちゃんと燃え尽きるといいな
(面が水に落ちる音)
(子翠) かなわぬ願いは底に沈み
恵みの糧になる
虫は冬を越せない
ただ 子を残すのみ
ただいま~
(猫猫)あ...
(翠苓(スイレイ))戻ったか
夜食は?
食べる~
(翠苓)祭りは どうだった?
えっとね
行ったら ちょうど 響迂が中にいてね...
何だ?
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