The first 200 lines.
もっと離れて歩け
死人臭くてやりきれねえ
いい加減にしろ
死人臭えのはお互い様だ
それも みんな てめえのせいじゃねえか
てめえこそ臭えや
臭くて臭くて ヘドが出らあ
もっとも糞虫にゃ 糞の臭さは分かるめえ
何だと!
てめえは糞虫だ
鼻持ちならねえ
戦に出りゃ 立身出世は 思いのままだって ぬかしやがって
何がおかしいんだ 気違え野郎!
何もかも とっても面白えや
まず戦に間に合わなかったのが 面白え
負けた方の雑兵と間違われて 死人の後片づけをやらされたのも
やっとこ逃げ出して
二日二晩水腹で こうやって うろついてるのも面白えや
もっとも一番面白えのは
ベソをかいてる おめえの その間抜け面さ
この野郎 こんちきしょう!
えい えいえい
故郷へ帰るべえ
どの面下げて帰るんだ
家まで叩き売って買い揃えた 刀や具足まで はぎ取られてよ
こんなザマで帰れるか
じゃあ この死人から引っぱぎな
ええっ てめえじゃあるまいし
いくら食いつめたからって 盗っ人の真似はできねえや
じゃ勝手にしろ 俺は行くぜ
行きやがれ
俺は一稼ぎして帰るからな その時には吠え面かくな
はん また ふん捕まって
死人の穴でも掘りやがれ
ちきしょう! とっとと失せやがれ!
てめえなんか いねえ方が せいせいすらあ
へん この糞虫野郎!
へっ
おい
だめだ だめだ この道から国越えはできねえぞ
山名が関所を作りやがったんだ
関所?
木戸を固めて 鼠一匹通さねえぞ
おい
見つかると命はねえぞ
どうする
霧にでもならなきゃ動きがとれねえ
何が書いてあんのかね この立て札?
黄金十枚 濡れ手に粟というお触れだ
読んでくれねえか
定
一つ 秋月氏 世継ぎたる雪姫
右の者を捕らえたる 者には黄金十枚
その所在を訴え出でたる者には
黄金三枚を恩賞として 与うべきものなり
よって件のごとし 山名家
よって件のごとし 山名家
歩け こら 歩け
歩け 何やっとる!
とっとと歩け!
待て
こいつ 逃げた
それ 逃がすな
列へ戻れ!
おらは違うだ おらは違う
歩け
霧になったのは ありがてえが 何にも見えねえや
一体 早川はどっちなんだよ
ぶつくさ言わねえで 黙ってついて来い
何だ ありゃ
誰だ!
わあっ
いけねえ また死人の穴掘りか
歩け 歩け こら
又七でねえか
ああ 又七!
又七!
ああ 又七!
歩け
こいつ こら!
太平!
又七!
ええい 入れ えい こいつ
おい いいか!
金二百貫 大判にして五千枚
この城に埋めてある
いいか そいつを掘り出すまでは 貴様らは人間じゃねえ
もぐらだ
さあ 掘れ
ぶっ倒れるまで掘るんだ この もぐら野郎!
どけ
こら!
こら!
あっ!
又七!
(銃声)
又七 えらいことになったな
もうだめだ
死ぬんなら 一緒に死のうな
(騒ぎが遠のく)
あ?
あっちだ
(女) 泥棒! 米泥棒!
ところで おめえ これからどうする?
お姫様でも捜すだな
お姫様?
負けた秋月の世継ぎだよ
たしか捕まえて差し出しゃ 恩賞金十枚
金十枚
居所を密訴しても金三枚
金三枚
いけねえ いけねえ そんな夢みてえな話
そんな欲かいて捕まったら 今度こそ助からねえぞ
やっぱり故郷へ帰るよりほか しょうがねえな
それがよ とっても国越えはできねえ
まず ズドンでお陀仏だぜ
はあ
さあ 飯だ 飯だ
こう腹ぺこじゃ ろくな知恵は出ねえ
ちえっ まだか
こいつ ちっとも燃えやがらねえや
(金物の当たる音)
ん?
あっ 何だい ありゃ
ああっ 金だ!
違えねえ 金だ!
でもよ 木の中から 金が出るなんて おめえ
物持ちが 大黒柱に金を仕込んで
隠しといたって話は 聞いたことがあるが
あっ 何だ こりゃ 刻印があるぞ
(又七) 三日月みてえだな
(太平) 三日月は秋月の紋所だぜ
うん? 秋月ってえと
するとあの 城で掘ってた 軍用金ってのは
うん
あちっ!
太平 かまどを燃しつけたのは おめえだ 薪はどこで拾っただ
うん
お… おい 手分けすべえ
うん
俺はこっちへ行く おめえはその涸沢を捜せ
(又七)おーい!
おーい 太平 おーい!
ああ ああ 同じだ
何しやがる
一つは おらんだ
何? 二つとも俺が見つけたんだ
初めに薪拾ったのは俺でねえか
薪を投げたのは俺だ
金を拾ったのは俺だ
嘘こけ
金だってことを見つけたのは俺だ
シッ
引き返すべ
引き返す?
金の延べ棒は これっきりってことはねえ
他の奴に気どられたら大損こくぞ
ついて来やがるぜ あの野郎
気をつけろ 山賊かもしれねえぞ
山賊じゃあるめえ 刀も持ってねえべ
だからって安心できねえ 山賊の手先かもしれねえ
おい
あの野郎 もうついて来ねえぞ
さあ 引き返すべえ
待て まだ安心できねえ
それに今日はもう遅い
一晩 様子見んのも悪くあるめえ
うむ 何しろどえれえ大仕事だ 用心するに越したことはねえからな
(仏法僧と梟の声)
おい
あの野郎 あれっきり姿を見せねえ ところを見ると
どうやら俺達の思い過ごしらしいな
うん おおかた ただのきこりか炭焼きだろう
ところで 又七
今のうちにちゃんと 話つけておこうじゃねえか
何の話だ?
とぼけちゃいけねえよ
お宝の分け前のことよ
恨みっこなしに 半分半分ってことで手を打とうぜ
不承知かよ
おらが先に見つけたんだがな
じゃ決めるぜ いいな うん?
じゃ 寝るべえ
ぐっすり寝て 黄金の山の夢でも 見るべえ
おい
こんばん…
おい
山は冷えるなあ
おめえ こんな山ん中で何してんだ
(六郎太) お前達は何をしておる
おら達か
おら達は 国越えしようと思ってな
国越え?
うん 早川領へ抜けてえんだ
早川領?
この山を越えたら山名領だ
いや… いや その… つまり
この は… 早川へ ぬ… 抜けてえんだがよ
(太平) なっ これが早川領
で おめえ これが あの…
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