The first 144 lines.
『非常線の女』 は、35mm 可燃性オリジナルネガに由来する国立映画アーカイブ所蔵の 35mm プリントを元素材として、2022 年にデジタル修復を行ったものである。
非常線の女
"親爺は?"
"社長はまだいらっしゃいません"
"時子を呼んでくれ"
"君は七月生れだからルビーにしたよ"
"これにどんな意味が含まれてゐるかしら"
"さう云ふ意味の頂戴物でしたら私お返ししますわ"
"君にはうっかり冗談も云へない"
"お茶でものみませんか"
"妲那 今のは仲々 いゝ鴨らしいな"
"いつもの手で行かうぢゃねえか!"
"馬鹿! あれはうちの社長さんの息子ぢゃないか"
"こんなのいヤだからね"
"襄二もう一度みっちり練習を始めて見ないか"
"お前が返り咲きしてくれるとお前の為にもいゝんだがなあ"
"まあ諦めて貰ふんだね"
"女に可愛がられるやうになっちゃもうボクサーもおしまひだよ"
"何だい? あの小僧は――"
"あいつは此頃こゝへ出入りするお新規さんなんだ"
"バンタム ウェイトか"
"フェーザー だよ"
"一寸 左が利くちゃ ねえか"
"お前 ダンスホールと 間違へて 来たんぢゃ あるまいな"
"ブレーク!"
"此処へ荒しに 来るって 野郎は どいつだい?"
"あたいの後を 見てごらん!"
"お前たちは 時子の お守りでも してくれ"
"あたいの裏二は 大砲でも 撃たなきゃ 滅多にノビは しないよ"
"廊下鳶に お冷やを三つ あげてくれよ"
"お前さんたち もう お帰りよ"
"もう少し 遠慮して もの云ったら どう?"
"お前さんたちに 遠慮してちゃ きりがないからね"
"張り倒すよ"
"張り倒すよ"
"何処から 捲き上げて 来たんだい?"
"こいつは 相当な もんだぜ"
"會社で 馘にならない おまじなひさ"
"例の社長の 息子だな !?"
"こんな凄いの 貰って只で すむのか?"
"余り氣もみませんなよ"
"あたいなんかのことで本氣で氣をもむお前さんかい?"
"今夜もホールで三度もみさ公の頬っぺたに触ったぢやないか!"
"こいつが兄貴にお願ひがあるんだってさ"
"仲間にして頂きたいんですが"
"何かの間違ひぢやねえのか?"
"俺はそんないい顔ぢやねえよ"
"失礼ですが僕はあなたがとっても好きなんです"
"僕を追返さうたって駄目です!"
"悪い了見起さない方がいーな"
"お前 いー氣になって勧めたんぢゃねえのか?"
"好きぐだなあ"
"折角連れて来たんだから 仙公の顔も立てゝやったから どう?"
"宏公の奴 いっぱし呉太モンになりやがったなあ"
"済まないけど 姉さん 少し欲しいんだけど..."
"そんな事でお店へなんか来ちゃ困るぢゃないの!"
"学校の方はどうしたの!?"
"今日は晝までなんだよ"
"お前は此頃たしかに氣がゆるんでゐるわよ"
"しっかりして呉れなくっちゃ困るわ"
"コーヒー代ちょっと稼いで来ちゃった!"
"宏公も何時の間にかいい顔になったもんだなあ!"
"ショッパイ野郎!三十に上げろよ!"
"あんな野郎になめられてたまるもんか"
"張り切ってやがら!"
"なんだ姉さんまだ起きてたのか?"
"これから遅くなったら何時でも先に寝てくれていいんだよ"
"此頃 誰か悪いお友達でも出来たんぢゃないの!?"
"姉さんにかくれて何か悪い事でもしてるんぢゃないの?"
"こんなもの何時からのんでるの?!"
"この頃一緒にお夕飯たべたことあって?"
"一日のこと楽しく話し合ったことあって?"
"俺だって何時までも子供ぢゃないよ"
"襄二の身内で'左の宏'ってやちっとは顔が利くんだよ"
"そんな者になって貰はうとは思はないわ"
"たった一人の弟をそんな者にするために私働いてゐるんぢゃないわ"
"安心しておくれよそのうち試合に出られるやうになりゃ一晩に二十円は貰へるんだよ"
"運悪く負けたって十五円にはなるんだ"
"お金のことなんかぢゃないわ!"
"兄貴女に泣かれたことあるかい?"
"お前もう 女の子で苦労してるのか?"
"昨夜は 泣かれ通しで まんじりとも してねえんだ"
"この野郎! ノロケやがって 一体何処の オカメだい?"
"うちの オカメで 姉さんだよ"
"口舌が 多いんで 芯が疲れるよ"
"くどいいうだが '返り咲き'しなよ"
"くどいいうだが 女の子に 可愛がられる んでね"
"兄貴に 是非逢って 貰いてえって 云って 来てるんだ"
"聴きなれねえ 女の声だ"
"俺も行かう"
"女を使つての おびき出したかも 知れないぜ"
"鉄心の貞"
"小林のママ公"
"オイチョの清公"
"お前たちに わざわざ 行つて貰ふ程の 相手でも あるまい"
"あのー 襄二さんと 仰有るのはー"
"電話は あんたでつたん ですか?"
"私 宏の姉で ございますが..."
"宏は 貴方を とても お慕ひして ゐます"
"貴方の 仰有る事なら 何でもきくと 思ひますわ"
"あれでも私のたった一人の弟なんですの"
"どうぞ貴方から以前の様になるやうに仰有って下さい"
"こっちで引張ってるわけぢゃなしそいつは一寸お門が違ひますね"
"ではせめて逢はせてゞも頂けないでせうか?"
"相手は甘いか辛いかショッパイか?"
"お前に面会人だ"
"オイチョの清公か?"
"小林のマア公か?"
"そんな胸のすくやうな野郎ぢゃねえや"
"兄貴人が悪いよ!"
"撒いちゃった!"
"一緒に帰ったらどうだ!"
"姉さんは兄貴に余計な事を頼んだんだらう!?"
"私あんたの事思ふとじっとしてゐられなくなったのよ"
"諦らめてまともになれよ"
"お前なんかどうせロクな奥太者になれっこねえんだ"
"ショッパイ野郎!四十に上げろよ!"
"いい氣で撞いてやがって兄貴に見付かるとのされるぞ!"
"嚇すなよー!"
"でも兄貴が俺の事なんかであゝむきになるのは可笑しいよ"
"むきになってるのは手前の事ぢゃねえわ!"
"兄貴は宏公の姉さんにとっても御執心なんだぜ"
"姐御にしちゃあ とんだ手抜かりだ!"
"そんな事いちく氣にしてたひにゃあこの商賣出来やしないよ"
"御氣に召したのございまして?"
"赤盤の十二吋は品が良過ぎて僕には頼りないです"
"そんなことございませんわ"
"貴方は御自分てわざとそんな振りをなさっていらっしゃるんですわ"
"ふだん貴方のなさる事もみんなそれぢゃないでせうか"
"襄二そんなかっこいいのわかんの?"
"見なよ犬だって聞いてるぢやねえか"
"神様がこしらへたものゝ中でも音楽は出来のいい方だぜ"
"いやに焼きが廻っちやったんだね"
"お前さんあんなのにレコード聴かせたッて無駄だよ"
"わかる?"
"お前さんこの頃少しおたくし過ぎてやしない?"
"あたい今濡場見て来ちやつたんだよ"
"あんな素人になめられてお前さん黙ッていいのかい"
"もうあなたのお耳にまで入りましたの?"
"仙公もねあつさりのばしちやはうかッて云つてるんだよ"
"あの こわれ物ですし なるべく お静かにお扱ひ 下さいますやう お願ひ致しますわ"
"馬鹿! 張り倒すよ!"
"あたい今日 お前さんの事 一寸 きいちゃったんだけど..."
"何も さう 改まった顔 すること ないぢやないか!"
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