The first 169 lines.
)ごめんって 昴(すばる) もう泣きやんでよ
だ... だって...
薫子 うんてい... 落ち... 落ちて
怖かった~!
だって 最近...
こうもりするのハマってて
鉄棒でもいいじゃない!
もう危ないことはやめて
分かったよ
フフッ
昴は優しいね
ありがとう 私は平気だから
ね?
泣かないで 昴
小さくて かわいくて
とてもきれいで 長い黒髪を持っていて
明るくて 強くて かっこいい
私のヒーロー
私も薫子みたいに 強ければよかったのに
私 この前 紬(つむぎ)君と話したの
“紬君”って まさか...
紬 凛太郎(りんたろう)君
カフェで2人でいるところを見たの
本当 偶然だったけど
2人が別れたあと 紬君に話しかけた
それで薫子には もう... 会わないでほしいって伝えたの
か... 薫子
勝手なことをして...
ごめんなさい!
ごめんなさい
昴
もう...
いきなり謝るから びっくりしたよ
え?
校門での騒ぎのときに 千鳥(ちどり)と桔梗(ききょう)の仲の悪さを痛感したの
私が昴を苦しませてたんだね
何 言ってるの?
昴が それを凛太郎君に頼んだのは 私のためなんでしょう?
薫子の幸せを守れるなら それでいいの
昴は優しいね
心配かけてごめんね
なんで...
なんで薫子が謝るの?
ああ...
私は最低だ
あの日 紬君と話してから...
アハハッ 本当に?
ホント ホント
これ 有名な話だよ
へえ~
もう 薫子に 伝わってるんじゃないかって
ずっと不安だった
あっ 昴
次の授業 一緒のグループだったよね?
え?
あれ? 違った?
何も起こらないのが怖かった と同時に理解した
紬君は私とのことを伝えていない
そのとき ふと脳裏をよぎった
え... ええ 一緒よ
これからも紬君は このことを伝えないんじゃ?
このままにしておけば
薫子に嫌われることは ないんじゃないかって
でも 一度 気付いたその錆(さび)は 落ちるどころか どんどん広がって
罪悪感で 息をするのも やっとで
押し潰されそうになったから 私は薫子を呼び出した
私は 自分が ただ楽になりたかっただけ
なんて ずるい人間なの
ごめんなさい
昴?
そして 何よりも許せないのは...
ごめんなさい ごめんなさい
薫子が 私を責めなかったことに
心底 ホッとしてしまった
私は昔と何も変わっていない
背が伸びても
外見だけ取り繕って強く見せても
まねをして髪を伸ばしてみても
甘えてばかりの最低な弱虫のまま
私は心から 私が大嫌い
ごめんなさい 薫子
私... あなたに迷惑かけてばかり
ごめんなさい ごめんなさい
ごめんなさい
昴!
ちょっとだけ遊んでいかない?
今だけ昔に戻ろうよ
ねえ 昴
これ 久々だと怖いかも
か... 薫子
ん? 昴もする?
あっ いや...
気分じゃない?
薫子 せっかくおしゃれしてるのに 服 汚れちゃう
昔に戻ろうって言ったでしょ?
そういえば 昔は遊ぶたびに服 汚して
お母さんに怒られたな
昴 覚えてる?
私が うんていから 落ちたときのこと
ええ
私 あのときね...
- (薫子)うっ... - (昴)きゃああ!
実は すっごい痛かったの
そりゃあ あれは痛いわよ
じゃあ 落ちてすぐ 昴が なんて言ったかは覚えてる?
え?
死んじゃやだよ 薫子!
痛いの全部 昴に飛ばしていいから~!
そ... そんなこと言ってないわよ!
言ったよ! 私 覚えてるもん
あっけにとられすぎて 涙と痛み 引っ込んじゃったな~
本当に昴は
優しかったよね 昔から
違う
私は優しくなんかないわ
私 薫子に迷惑かけてばかりで
薫子が優しいから こんな私を...
昴 それ...
なんか嫌!
え?
もう! さっきからずっと
“優しくない”とか “こんな私”とか
薫子? えっ... ごめんなさい!
私は ずっと...
昴をそばで見てきた
うんていのときのことだって
危険な遊び方をした私が悪いのに
何やってるのって怒るどころか 泣いてくれて
昴を泣かせちゃったって 後悔したけど
私のことを こんなに心配して
泣いてくれるんだって
うれしかったの
昴は昔から ずっと 私のそばにいてくれた
そんな昴に 私は すごく支えられていたんだよ
だから 昴
お願い
私が好きな昴を 昴が否定しないでよ
私ね 自分が見てきたものを 信じたいの
だから 私は 私が見てきた昴を信じるの
昴が自分を“こんな私”って 思わなくなる日が いつか 来るなら
私は その日まで ずっと伝え続けるよ
私は昴が大好きだって!
そうだ 薫子は ずっとそうだった
私は すっごくきれいだと思うよ!
出会ったときから ずっと 伝え続けてくれていた
今 やっと 私のすべきことが 分かった気がする
あ~ 楽しかった!
ねえ 昴も...
す... 昴? どうしたの?
薫子
私は紬君に
薫子は桔梗の特待生だから
千鳥のあなたは会わないでって 伝えたわ
でも 私 先にちゃんと聞くべきだった
あなたは?
薫子は どうしたい?
ごめん 昴
私 凛太郎君に会いたい
薫子 もう1つ聞いていい?
何?
うん
好き
大好き
そう
あのね 薫子
紬君に 会わないでって お願いしたとき 言われたの
“ごめん できない”って
そっか
私は まだ 自分を好きにはなれないと思う
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