The first 109 lines.
港の日本娘
横浜――
居留地の丘――
学校の――
往きに――
帰りも――
"結局 二人っきりになるのね"
"そして いつまでも 二人っきりよ"
"なんだか 悲しくなるわ 港を出て行く 船を 見てゐると..."
"横浜っ子の 氣持ね"
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"乗っけて頂戴!"
"しっかり つかまって!"
学校の —
往きは —
帰りは —
"やっぱり 二人っきりになっちゃったわね"
"ドラ 御免なさい..."
"きのう... あなたを 置いてきぼりになんかして... 悪かったわ"
"そんなこと あたし 何とも思っちゃゐなくてよ"
"それどころか あたし あなたと ヘンリーの幸福を 心から祈ってゐるんだわ..."
"有難度う"
教會 ―
淨く冷たい 花園 ―
それからの 二人は ―
海に―
山に ―
街に ―
といふ具合に とにかく 幸福だった
だが うつろひ やすきもの ― 恋愛
"ヘンリー此頃 ちっとも會って くれないのよ どうしたのか 知ら?"
"何考へてるの?"
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"フルスピードで帰りませうよ"
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"ヘンリー"
"ヘンリー"
"ヘンリー!"
"また與太者仲間との交際をはじめたのね"
"シエリダン燿子の家へしきりに出入りしてるんだってね?"
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"とにかく明日いつもの丘で待つていらつしやい..."
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何故なら―
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横濱から長崎―それから神戸へかなしい女は何処にも居る
"神戸ともまたさようならだ"
"横濱へ住み替へさ"
"あたしも歸ってみたいな"
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"あれで画家よ あたしが長崎の酒場にゐた頃からの道づれさ くっついて離れないんだわ"
"あたしが聞いてみるのは あれはお前さんの一体なんだいって言ふことさ"
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"さあ 何だか ねえ ―"
そして 横浜 ―
家庭 ―
"今日は随分早かったのね"
"すっかり変ってしまって 昔の砂子さんの面影はないさうだ ―"
"嫌になっちゃうね この不漁つづきに雨に降られちゃ 世話なしだ"
"砂ちゃん あたし家へ帰るよ"
"あたしも歸るよ"
"ヘンリーでしたの?"
"坐らない...?"
"お酒飲む...?"
"では邪魔者は消えてなくなることにしませうかな"
"ドラはどうしてるかしら... あなたその後の消息知らない?"
"あたしの聞き方が惡かったんぢゃない?"
"お二人は幸福...?"
"あなた達のことあたし心から祝福するわ"
"あたし歸る時間なのよ通ひなの..."
"それともあんたがお客になって下さる?"
"冗談よ..."
"ドラによろしくね"
"今日隣へ越して来た女の人が何処か働くところがないかって言ってたよ"
"他人への心配より自分のことを考えたらどう?"
"あたしの繪ばかり描いたって一文にもなる譯ぢゃないでせう"
朝ー
"お客様よ"
"此處はあなたなんかの来る場所ぢゃないわ"
"あたしが来ないでゐられると思って?"
"ヘンリーは真面目に働いてゐるし家庭は円満だし"
"あなたはそれを喜んでくれとでも言ひに来たのね"
"第一此処は女のお客様の来る処ぢやないわ"
"どこかいい就職がありましたかね?"
"世の中に人間が多いんですよ"
"人間が多過ぎるんですよ"
日曜日ー
"ちょいと寄り道して行かうと思ふの"
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