The first 200 lines.
(汽笛)
(汽笛)
(鈴木(すずき))ええ ええ 私? 今 海の上 海の上ですって!―
そんなことは 秋山(あきやま)君に任せなさいって!―
泳いではいけませんよ!
(浜崎(はまさき))スーさん やんないの?
(鈴木)ああ―
まったく もう どいつも こいつも…
ああ あーあ ヤダヤダ
どうしたの どうしたの (鈴木)もう飽きちゃったよ
こんな汚い東京湾で ハゼ釣りすんの
たまには こう 泊まりがけで大物やりたいね
ダ~メ スーさんね 俺ね もう 鯉太郎(こいたろう)の顔 見ないと
えっ? ダ~メ スーさんね 俺ね もう 鯉太郎(こいたろう)の顔 見ないと
ダ~メ スーさんね 俺ね もう 鯉太郎(こいたろう)の顔 見ないと
もう 眠れない体に なっちゃったからね
泊まりはダ~メ
だけど 月に1回や2回 いいじゃないか
スーさんだって 覚えがあるでしょ
ねえ 子供と一緒に 寝るじゃない
そうするとさ 小ちゃいアンヨがさ
こう 寝返りなんか 打つときにさ
ツンツン ツンツン おヘソの辺り
つっつくのよ
もう その幸せったらね もうね
思っただけでも ゾクゾクしちゃうね
アメ食べる?
ああ どうも ありがとう
俺ね スーさんね もう 今ね
〝子供とね 釣り〞
“あなた どちら取りますか” なんて聞かれたらね
“はい 子供です”って 即座に答えちゃうね
これ 皮むいてよ ちゃんと
浜(はま)ちゃん あんた いつから
浜(はま)ちゃん あんた いつから えっ?
浜(はま)ちゃん あんた いつから
釣りバカから 親バカに変わったのよ?
んー それはね こうのとりさんが
鯉太郎を我が家に 連れてきてくださってから
何が こうのとりだ
あっ スーさん 来てんじゃん 来てんじゃん それ
えっ? あっ スーさん 来てんじゃん 来てんじゃん それ
分かってるって
だったら 巻きなさいよ スーッと
(釣り糸を巻く音)
(浜崎)ああ ああ ああ ハゼの赤ちゃんじゃん
かわいそうに まあ…
まあまあ 赤ちゃんハゼじゃないの はいはい はい
今ね こうやってね 外してあげるからね はい
ちょっと 何すんのよ あんた! (浜崎)ママんとこに帰したのよ
赤ちゃんだもん かわいそうじゃない
赤ちゃんだったってね 大人ってこともあるでしょ
何を 訳の分かんないこと 言ってんのよ
もうダメだ 今日はダメ
もう あの赤ちゃんハゼ 見たらね 鯉太郎の顔 見たくなっちゃった
八(はち) 八 もう帰るぞ
(八郎(はちろう))ダメだよ 他にも お客さんいるんだからよ
いいじゃん 帰ろう もう
(男性)帰るって 1人で泳いで帰ってくださいよ
泳いで帰れ? 何をバカなこと 言ってんだよ 本当に
(女性)おじさんやめなよ この人 元ボクサーだよ
ボクサー? 上等だよ
(鈴木)いやいや 上等じゃないですよ 浜ちゃん
ボクサー? えっ? (鈴木)いやいや 上等じゃないですよ 浜ちゃん
ボクサー? えっ?
いや だってね みんな 同じ料金 払って来てるんでしょ ボクサー? えっ?
いや だってね みんな 同じ料金 払って来てるんでしょ
だって こいつ 何だか “泳いで帰れ”っつうんだもの
やるんだったら…
どうも 本当に すみません
許さん! (浜崎)アイタッ…
(泣き声)
おうち帰る…
(汽笛)
(鯉太郎)アア… ウウ…
(浜崎) ごめんなさいね ここで降りるとね うちまで歩いて2分なのよ
ごめんなさい
(鈴木) 勝手なんだから ごめんなさい
(鈴木) 勝手なんだから
お前のことは忘れねえぞ 本当に (鈴木) 勝手なんだから
お前のことは忘れねえぞ 本当に
(浜崎)八 いいか?
よいしょ
(八郎)すいません あのね 2人 下りたら すぐ出すからさ
ちょっと ごめんね はいはい
(浜崎)はいよ (みち子(こ))浜ちゃん!
はい はいよ
(みち子) 鯉太郎いなくなっちゃった
ええっ?
洗濯してたら いなくなっちゃった
ええっ どこ行っちゃったんだよ?―
鯉太郎!
ちょっと 浜ちゃん!
あっ…
鯉太郎!
(鈴木)そんな大きな声 出したら 落っこっちゃうじゃないの!
分かってる 分かってるって (鈴木)そっとだよ
鯉太郎 (鈴木)そっと
待ちなさいよ 俺が父親なんだから
鯉太郎 (鈴木)そーっと行くんだよ
うん―
鯉太郎―
鯉太郎―
鯉太郎
(みち子の悲鳴)
(浜崎)鯉太郎 動いちゃダメ
動いちゃダメ うご… 動かないでね 動かないで
浜ちゃん しっかりしろよ
(浜崎)鯉太郎 鯉太郎
動いちゃダメよ 動いちゃダメよ―
今 行くからね―
動いちゃ… 鯉太郎 動いちゃダメ
待ってね 待ってね
八 八 ちょっと 足を こうさ 支えて…
うん そうそう 鯉太郎 鯉太郎 はい はいはい はい
ほら いいか 立つぞ 立つぞ
ンッ…
クッ… 早くしろよ
あと30センチ
20セン…
あと10セン…
(浜崎) うん うん 動かないの―
ンンッ… 鯉太郎 動いちゃダメよ
うん うん うん 大丈夫?
ねっ? うう… 動いちゃダメ 動いちゃダメよ
亀だ
クッ…
(浜崎) ああ 鯉太郎 おいで おいで―
はい へっ へっ
よっ! アッ… ハァ…
(笑い声)
(鈴木)どうも ご心配かけまして どうも ありがとうございます
どうも ご心配かけました サンキュー サンキュー あっ…
(浜崎)おお… (男性)アイタッ アイタッ…
(男性)ア~ッ! アッ アッ…
(鯉太郎の泣き声)
(女性)大丈夫?
(八郎)大丈夫か?―
泳げるか?
よーし これでオッケー
しかし 我が子ながら大したもんだぜ
あのドア 体当たりで 開けちゃうんだもんね ヘヘッ
(携帯電話の着信音) あのドア 体当たりで 開けちゃうんだもんね ヘヘッ
(携帯電話の着信音)
もう まるで イノシシの子みたいなんだから (携帯電話の着信音)
(携帯電話の着信音)
(浜崎の笑い声) (携帯電話の着信音)
(携帯電話の着信音)
うちの周り オリで囲まなくちゃ もうダメよ (携帯電話の着信音)
スーさん 携帯電話 鳴ってるよ
あっ ちょっと じゃ 見てて
はい はい はい おいで 鯉太郎
鯉太郎
へえ~ オリか
ねえ みち子さん
鯉太郎 格闘技に向いてんじゃねえかな
(鈴木)はいはい うん
ええ? 柔道とかレスリングとかさ (鈴木)はいはい うん
ええ? 柔道とかレスリングとかさ
(鈴木)うん? ええ? 柔道とかレスリングとかさ
(鈴木)うん?
(みち子)水泳どうすんの? プール申し込んじゃったのよ もう (鈴木)うん?
(みち子)水泳どうすんの? プール申し込んじゃったのよ もう
(鈴木)うん (みち子)水泳どうすんの? プール申し込んじゃったのよ もう
うん でも 体型から見て 何か 格闘技のような気するんだけどな
(鈴木)うん うん 重心が低いし
(鈴木)うん うん
いや 重心が低かったらね 足を伸ばしなさい グーッと!
そんなことは常識だよ!
(浜崎)電話で?
やっぱ 相撲か 相撲もいいね
(みち子) そんなに強くなれるのかな
(浜崎の笑い声)
常識も何も あったもんじゃないんだから
ねえ スーさん ねえ
何ですか!?
鯉太郎が お相撲さんになったら あれ… 化粧まわし贈ってくれる?
それまで うちの会社が続いていたらね
またまた… なあ? 鯉太郎
あのね 浜ちゃん (浜崎)ん?
ちょっと相談なんだけどね
(浜崎)何? (鈴木)あの…
ん? 何か臭くない?
(浜崎)ん?―
ん? やったか? やったか?
あっ やってる やってる やってる やってる
(みち子)ごめんなさい
ハハハッ やった~
ほら 汚いね これ (浜崎)ああ 鯉太郎のウンコだよ
えっ?
色良し 香り良し
味良し 鯉太郎 健康 うん
汚いなあ ちょっと あの… 拭くもん貸して
(浜崎)何で拭くのよ?
汚いじゃないか これ!
ちょっと待ってよ スーさん
あのね 鯉太郎がしたオシッコ これはね 蒸留水みたいなもん
俺 “飲め”って言われれば 飲んじゃうよ
(臭いを嗅ぐ音) 俺 “飲め”って言われれば 飲んじゃうよ
(臭いを嗅ぐ音)
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