The first 200 lines.
フェンス
トロイ ウソだろ
ヤツはデカいスイカを手に “スイカって何です?”
俺もたまげた
“ランドさん スイカって何?”だぜ
ランドさんは?
黒人 ニガー はスイカも知らないと 思ったのか 黙ってた
ヤツはスイカが見つかって ごまかしただけさ
関わりたくない連中だ
ヤツは組合の男を見て 怒ってたな?
俺に言ってきた
“トロイ・マキソンのせいで クビになる”
お前を“疫病神”と呼んでた
ランドさんは何て?
“来週の金曜 清掃局長に会え”だと
呼び出しだ
お前が苦情を申し立てりゃ クビにできねえ
クビの心配なんかしてねえ 俺は聞いただけだ
ランドさんにな
“なぜ運転は白人だけで 俺たちはダメなんだ?”
“運転する頭も ないってのか?”
“誰でもできるのに 黒人は積み込みだけ”
彼が“組合に話せ”と 言うから そうしたんだ
ブラウニーに “デマを流すな”と忠告した
お前は苦情を 申し立てただけだ
ブラウニーは 分かっちゃいねえ
俺は運転するチャンスが 欲しいだけだ
ヤツには理解できねえ
テイラーズのアルバータと うまくやったかな
誰が?
ブラウニーさ
俺たちと同じだ 何もないだろ
お前のほうが要領よさそうだ 俺は言わねえよ
何を言ってんだよ
お前はうまくやったら 黙ってられない
真っ先に俺に言うはずだ
そいつはどうかな
お前 狙ってるだろ
俺は ただの女好きだ
それがトロイ・マキソンだ
あの女に酒をおごってた
お前にも おごっただろ
女におごるのは礼儀だ
1杯おごるのは礼儀だが一
2~3杯おごるのは 狙ってるからだ
俺が本気で女の尻を 追いかけたか?
追いかけたさ 昔から見てきた
ローズと結婚後は?
まあ 結婚してからはないな
ほらな 俺は潔白だ
アルバータの家の近くで見た
テイラーズにいるはずだった
俺を 尾 つ けたのか?
たまたま何度か見た
近所で見ただけで疑うなよ
彼女は どこから来たんだ?
タラハシーだ フロリダ女だよ
いかにも健康的だ
ネイティブアメリカンも 混ざってる
向こうの黒人に多い
それは知らないが 健康的で いい体してる
ストッキングもデカい
太い脚とミシシッピ川並みに デカい尻だ
脚は邪魔になるけど 尻は大事だぞ
クッションだ
何を言ってんだ
本当だよ 車のタイヤと同じさ
何の話をしてるの?
女に関係ない 男の会話だ
どうでもいい
ボノ 夕飯は?
ルシールが豚足を 煮込んでるんだ
豚足か そりゃいい 泊まりたいくらいだ
ローズ うちは?
チキンと青菜よ
台所に戻れ 俺はボノと話がある
お前とは別の話がある 今のうちに精をつけとけよ
トロイ やめて!
しょうがないな
見てくれ ボノ
初めてローズを見た時 俺は飛び出した
俺の小馬をつなげ 雌馬に 鞍 くら
どこかに俺の女がいる
あちこち捜して ローズを捕まえた
俺はローズに言った
本当だぞ
“ベイビー お前と結婚する気はない”
“お前の男になりたい” ローズは…
教えてやれ
“結婚しなきゃどいて 私を隠さないで”
そうさ “邪魔だからどけ 他の男から隠すな”だ
2~3日悩んだ
その夜 来たくせに
俺は戻って言った “よし おんどりを飼おう”
“知らない男が来たら 追い払えるようにな”
玄関は俺が見張るが 裏庭まで無理だ
もうやめて ウソばっかり!
だけど庭がなくて 飼うのを忘れた
ルシールと最初に住んだ家は 2部屋で 便所は外だった
普段はいいが 冬に風が吹くと大変だ
あれは つらかった
なぜ6年も住んだか 不思議だよ
あの頃 便所がある家は 白人のものだと思ってた
そういうものよ 今もベラの店で買う人もいる
野菜は新鮮だ
どの商品もスーパーより 10セントも高くしてる
俺は正当に 扱ってくれる店で買う
ベラは俺にパンを ツケで売ってくれる
金がある時も そういう店で買う
でなきゃ聖書に反する
高い店で買う意味がないよ
好きにしろ 俺は親切な店で買う
ぼったくりだよ
ルシールが怒る前に帰るよ
酒を飲み終えてから行けよ
それなら俺にも飲ませてくれ
スーパーの話だが コーリーがバイトをしてる
助かるよ ゲイブが出てったからな
仕事がありゃ自立できる
大学のチームに スカウトされた
コーリーに話したはずだ
フットボールじゃ 白人の中で活躍できない
また のめり込んだのか?
車の修理とか手に職をつけろ
フットボールと仕事は別よ 高校生だもの
そのうちスカウトマンが 話しに来る
名誉なことよ
仕事にならん ボノに聞け
運動神経は お前譲りだろ
野球じゃ ベーブ・ルースと ジョシュ・ギブソンだけが
お前よりホームランを打った
それが何かの役に立ったか?
戦前の話でしょ 時代は変わったのよ
そうか?
今は黒人の子も活躍してる
ああ 時代は変わった お前は早すぎたんだ
“早すぎる”なんて あっちゃいけねえ
あの男…
誰だっけ? ヤンキースのライトだった
セルカークだ 打率2割6分9厘だぞ
たった2割6分9厘だ
俺は4割3分2厘 ホームラン37本
ヤツは2割6分9厘で ヤンキース
ジョシュ・ギブソンの娘は ボロ靴だったが一
セルカークの娘は そんなの履かねえ
ジャッキー・ロビンソン以来 黒人も活躍してる
もっとうまい黒人を 大勢知ってる
ジャッキーが 入れないチームも!
あの程度で ふざけんな
うまいヤツが活躍すべきだ
肌の色も時代も関係ない
実力があるヤツにやらせろ
そんな飲み方したら 死んじゃうよ
死ぬだと? 俺は 死に神と格闘したんだ
死は外角の速球と同じさ 俺がどうしたと思う?
いいか ボノ
腰くらいの高さの速球だ
ベースの外角の上 バットの真ん中
それをかっ飛ばした ウソじゃないだろ?
ああ この目で確かに見た
ウソなら大ホームラン級だ 死に神は そんなもんさ
外角の速球と同じだ
死ぬ話は やめて
何が悪い? 誰でも死ぬだろ
お前も俺もボノも いつか死ぬ
だけど話したくない
俺が野球の話をしてたら お前が言ったんだ
なあ ボノ?
俺は金曜の夜しか飲まないし ほどほどでやめる
あとは飲まない 心配は無用だ
死ぬのは怖くないし 死に神と格闘した
いいか ボノ ある日 死に神が俺に向かってきた
兵隊の行進みたいに 死の軍団が来たんだ
1941年の7月半ば 冬のように背筋が凍った
死が手を伸ばし 俺の肩に触ったようだ
こんな風に触られ 凍える俺の前に死が…
もういい
“死に神さん 何の用だ?”
“俺を捕まえに 軍を率いたのか?”
俺は恐れずに死を見返した 格闘する覚悟だった
聖書に“油断するな”と あるから 酔わずにいる
トロイが肺炎で入院した時 高熱で大変だった
死に神は鎌を持ち 俺を見て立っていた
“お前は もう1年 生き延びたいのか?”
こんな感じだ
“お前は もう1年 生き延びたいのか?”
“今すぐ決着をつけよう”と 俺が言うと一
死に神はひるみ 俺の寒気が消えた
俺は鎌を取り上げ 遠くに投げた
それから俺たちは 取っ組み合った 6日…
3日3晩だ!
俺は倒されそうになるたび
自分の奥底から 力を振り絞った
聞くたびに話の内容が 変わるのよ
俺は事実を言ってるだけだ
3日3晩も戦い抜いて こうして話してるんだ
そうさ
とうとう俺たちは 動けないほど弱った
ヤツは白いローブを着た フードつきだ
それから鎌を捜しに行った
No comments yet. Be the first to leave one.