The first 200 lines.
ナチ政権下のドイツ ミュンヘン 1938年11月9日
いつまでも幸せに…
暮らしましたとさ
お祈りを
〈聞け イスラエルよ〉
〈主は我らの神 唯一の主〉
〈アーメン〉
愛してる
私たちも
おやすみ
父さん
なぜ憎まれるの
ヒトラーが言ってる
“失業の多さは ユダヤ人のせいだ”
皆 それを信じてる
どうして?
説明は難しい
だが心配ない
景気は回復してる
皆 失敗を誰かのせいに するのをやめ––
未来に目を向けるはずだ
我々も これまでどおり––
国に尽くそう
眠りなさい
明日も学校よ 心配は大人に任せて
愛してる
父さんもだ
〈おやすみ〉
やめてくれ 頼む
ドイツ ニュルンベルク 1945年
元ナチ党大会会場
気をつけ!
パットン将軍
兵士諸君
休め!
もし 勇敢さの定義が 恐怖を知らぬことなら––
勇敢な人間などいない
人は皆 恐れを抱く
勇気とは あと1分長く 恐怖に耐えることだ
もし諸君が民間人だったら?
銃の撃ち方も知らず––
ナチスから 人命を守る立場だったら?
先ほど 驚くべき話を聞いた
それを語ろう
物語の主人公は––
かけがえのない市民の1人だ
諸君の あらゆる犠牲と 英雄的行為は––
彼らのためにあった
フランス ストラスブ︱ル 1938年11月14日
そんな ウソだろ
父さん なぜ…
この恥知らず
気に入った?
娼館でヒトラーの格好とは
チャップリンだよ ここはキャバレー
そりゃ悪かった
父さん 僕は俳優なんだ
そうか
明日も早い 帰るぞ
“マンゲル精肉店”
ガルバーさんが来る
どうも ガルバーさん
エマは?
おかげさまで元気よ
なぜ いつも聞くの?
父が彼女と結婚しろと
そう?
ええ
本当? シャルル
娘はユダヤ人?
そのはずよ
ならダメだ
なぜ?
苦労をかけるはめになる
ピエロ志望の ひ弱で役立たずな せがれだ
ほぼ事実です
エマは結婚には興味がないの
時間の無駄よ
どうも
失敗だな
うまくいったよ
軽蔑された
それはフロイトが言う “心理的投影”だ
知らん
だよね
“攻撃の置き換え”も 見られる
不満を抱えた者は 目下の者に八つ当たりするんだ
つまり?
せがれは役立たずじゃなく 天才かも
分かった?
フロイトに治してもらえ
叔父さん
ジョルジュ
マルセルに話が
僕は本格俳優だ ピエロじゃない
子供たちを励ましたい
僕には関係ない
そう言うな
興味ないよ そもそも子供の相手は苦手だ
本当は店を手伝うヒマもない
新作で 1人30役を演じる予定だ
マルセル
親を失った子たちだ
そうか こっちは 生きてる父親のせいで地獄だ
失望した
どうしろと?
芝居の準備をしてろよ
ジョルジュ
悪かった
やあ
お母さんに会った
僕らの結婚を望んでる
古い世代は困るね 今は恋愛結婚の時代なのに
キャバレーでは収穫なし?
君は誤解してる
でしょうね
芸術は場所を選ばない デュシャンが いい例だ
それ誰?
キャンバスは何でもいい
それでキャバレーに?
引っかかる言い方だな
結婚したい?
まさか 君のお母さんが 望んでるだけさ
〝ドイツ帝国 国境〟
来たぞ
人数は?
子供ばかり 123人だ
資金提供を受けて疎開を
皆 ナチスに親を殺された
見ろ
君も見る?
準備は?
アラン
なぜ弟を?
子供を喜ばせたくて
やつの関心は自分だけだ ピエロ扱いすると怒るぞ
本人が嫌なら帰すが 今は人手が欲しい
分かった
小さすぎる
あのバスしか…
父さんのトラックを
助かるわ
包丁や肉は隠せ 子供が怖がる
行け
よし
さあ 降りて
どうした?
行こう
あなたも
よく来たわね
もう大丈夫
落ち着いて
危ないよ
落ち着くんだ そんなに押さないで
ケンカはダメだ ちゃんと座って食べて
ジョルジュ 手伝ってくれ
これを
大きすぎる?
大丈夫
心配ない
大人になるだけ
来て
ミラ すぐ戻るわ
私 大丈夫?
もちろんよ
女の人は皆 経験してる
私もね
成長してる証拠
これからは 月に1度 数日の間––
これを着けるの
何?
ナプキンよ
服に血が付かないように
数日で終わるわ
いつか––
赤ちゃんを産む時のための リハーサルってとこ
ダメだ 走らないで
暴れるな ケガするぞ
静かに
テーブルから下りて
仲良くしろ 皆 家族なんだから
ピエロの格好に––
ピエロの絵か
何か用?
筆を動かし––
黙々と描いてる
確かに 上達してるのは分かる
だが芸術に 何の意味があるんだ?
なぜ そんなことを?
なぜトイレに?
父親を侮辱か?
違うよ ただ尋ねてるんだ
トイレに行く理由は?
体が求めるからだ
そう
僕の答えも同じさ
〈 誉 ほ むべきかな なんじ主よ 我らの神 世界の王〉
〈大地からパンを 導き出される御方よ〉
〈アーメン〉
ステーキか どこで買ったの?
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