The first 200 lines.
これは実話に基づく 物語である
1983年
愛することは 信頼することだ
金庫のカギでさえ渡す
当然だろ?
俺はそんな愛を 手にしたはずだった
俺はサム・ロススティーン
"エース"と呼ばれる すご腕の予想屋だった
俺の一言でノミ屋の賭け率が 変わったほどだ
その腕を見込まれて 俺はベガスのカジノ―
タンジールの運営を 任されることになった
タンジールには 大金が注ぎ込まれていた
6270万ドルだ 詳しいいきさつは知らない
いきさつなど関係ない とにかく―
親友の俺 ニッキー・ サントロが用心棒につき―
奴にはジンジャーという 女もできた
だが結局 すべてがパア
俺たちのようなゴロツキに あんなおいしい話は―
もう二度と訪れないだろう
当時 ベガスは 大勢のカモが―
10億もの 金を落とす場所だった
夜 周りの砂漠は 闇に閉ざされる
人目に触れることはない
そこでトラブルの元は ここに葬られた
車で荷物を運ぶ前に あらかじめ穴を掘っておく
そうじゃないと 厄介なことになる
万一 目撃されたら―
余計な穴まで 掘るハメになるからだ
"タンジール"
ザ・ストリップ
ラスベガス
10年前
それまでの俺は ただのギャンブラーで―
いつもサツに にらまれていた
それがいまや合法的カジノの 運営を任され―
客に夢を売る立場だ
支配人には友人の ビリー・シャーバートを起用
ベガスは過去の泥を きれいに洗い流してくれる
いわば "聖地"のような場所だ
それだけでなく―
金もザクザク入ってくる
そう ここは砂漠に咲いた 金の成る木なのだ
派手なネオンに 豪華なホテル
シャンペン 無料の招待旅行
若い女たち
すべて客の金を巻き上げる エサなのだ
それがベガス
客には最初から勝ち目はない
客の落とした金は テーブルから―
会計係を通って 一ヵ所に集められる
カジノで最も神聖な場所 すなわち"集計室"だ
ここには俺でさえ 入ることはできない
俺は金を送り込むだけだ
100ドル札の束で 家が建つほど金が集まる
だが重役たちは 中のことを何も知らない
きちんと集計されてるって?
とんでもない
集計係の本当の任務は "金をくすねること"なのだ
金額をごまかし 伝票を捨て―
棚から現金を抜き取る
いま金をカバンに 詰めてるこの男は―
重役や国税局に知られず 金を持ち出す運び屋だ
他の男たちは 誰も気にしてない
皆 そっぽを向いて 見ないふりをしている
金勘定に忙しく―
そんな暇はないってわけだ
その間に男は出て行く
守衛も100ドルもらって 見て見ぬふり
毎度おなじみの光景だ
"やあ" "どうも" "またな" それでおしまい
誰にも見とがめられずに 去って行く
男が向かう先は カンザスシティー
そこには中西部のボスたちが 待ち受けている
もちろんボスたちの お目当ては―
カンザスシティー
このカバンの中身だ
男は定期便のように 毎月 カバンを運んでくる
ボスたちはデトロイトや クリーブランド―
ミルウォーキーなどから―
この食料品店の奥に 密かにやってくる
料理は手作りだ
信じられないだろうが―
このジジイたちこそ ベガスの陰の支配者なんだ
彼らはトラック運転手組合の 資金を一手に握ってる
そして毎月の"カバン"を 条件に―
資金がカジノに流される
こいつはデトロイトのボス
そしてこの男がリモ・ガッジ
いくらある?
ボスの中のボスだ
およそ70万ドルほど
まだ宵の口ですが―
ギャンブル業界の皆さんに お集まりいただき
組合年金局長の―
アンディ・ストーンは 表向きは かたぎの人間だ
顔も広く―
大統領ともゴルフを
ここに タンジール開業資金として
だが実際にはボスたちの 命令で動いてる
6270万ドルをグリーン氏に 融資します
今回もそうだ
このグリーンは―
表看板には最適な おめでたい人間だ
今回 融資を受けたのも―
手腕が買われたからだと 思ってる
競争に打ち勝つ自信は あります
グリーンは何者か? さあね
元はアリゾナの不動産屋で―
ガソリン代にも 事欠いてたらしい
肩書きは "社長"だが 実際にはすべて―
アンディが指示した
そうか 分かった
"ネバダ州法人 「タンジール」"
後はカジノを仕切れる人間を 探すだけだ
そこでエースに 白羽の矢が立った
だが奴は慎重だ すぐには飛びつかなかった
ライセンスが下りるか?
俺は過去に不法賭博で 何回も捕まってる
ライセンスなんか必要ない
申請だけでいい
申請手続き中でも カジノは運営できるんだ
問題ないさ
調べられたら?
調べるもんか
カジノのお陰で 奴らも潤ってる
定期的に仕事の肩書きを 変えればいい
"カジノ責任者"とか "飲食責任者"とか
その都度 書類は 一番下に回される
30年間 無免許の男もいる
引き受けるとしたら 俺のやり方でやるぜ
もちろん
干渉はごめんだ
誰にも口出しはさせない 約束する
こうして話は決まった
奴ほど この仕事に 打ってつけの男はいない
肩書きがシャレている
"タンジール広報宣伝部長"
実際はカジノの責任者だ
奴は15のときから 賭博で稼いできた
奴にとって賭博は 遊びではない
それでプロか?
まるで脳外科医だ
チップはきちんと置け
奴はいつも―
あらゆる情報を探ってから 金を賭けた
故郷の町で 俺とつるんでた頃
その昔 故郷の町
QBがヤク中だとか―
恋人が妊娠したとか―
試合日の風速まで知ってた
バスケでは床の材質で ボールの弾み方まで計算した
とにかく徹底的に調べて 賭けに臨んだのだ
エースは6だ 俺も乗る
毎年 奴は確実に 勝ち続けていた
いつも真剣で 楽しむことはない
そういう奴だ
ボスたちには 得がたい男だった
奴の予想に従えば―
間違いなくもうかるからだ
特にリモは ギャンブルがめっぽう弱い
クソ また負けだ やってられん!
エースが頼りだ
毎週末 奴のお陰で しこたまもうけた
奴はリモに情報を流す
イカサマ 馬のドーピング
審判の買収 ハンディの操作
何もかもだ それも当然だろう
リモを喜ばせるのは 最高の"保険"なんだ
なぜオクラホマが勝つと 思った?
皆 ミシガンに賭けてた
だから もうかる
いつも こうだ
来週はどうなる?
まだ早い 木曜に教えますよ
よし 家に来てくれ 7時だ
よくやった また頼むぞ
ニッキー 来い
奴の面倒を見てやれ
あの男のお陰で―
ずいぶんと もうけさせてもらってる
そこらの能ナシとは違う
いいな
頼んだぞ
そんなわけで俺は エースの用心棒になった
いいコンビだった
俺が胴元で 彼が集金人
ボスたちの覚えも めでたかった
彼の集金方法? 聞くな
ベアーズのハンディは?
8だ
ほら見ろ
9だと
マヌケ
これは君のか?
そうさ なぜだ?
いいペンだから 失くすといけないと思って
欲しけりゃやる ケツの穴にでも突っ込んどけ
俺はただ
何か言ってるぜ
女々しい声を出しやがって
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