The first 200 lines.
紳士淑女の皆さま
ただ今より映画を始めます
歌ったり笑ったり 拍手や―
オナラをしたい時は―
どうぞ頭の中で願います 頭の中だけですよ
最後まで どうぞお静かに
息すらも止めて ご覧下さい
上映中の呼吸は 一切 禁止です
では ここで最後の 深呼吸をどうぞ
以上です
<ナスティア 始めるよ>
それじゃ―
始めようか
1 2 3 4!
始めよう
そろそろ
もう時間
いい頃合い
皆が願ってる 予定通りの進行
恐怖を感じつつ 表に出せない
準備不足だが 十分なのかも
予算は大きいが まだ足りない
始めよう
そろそろ
もう時間
いい頃合い
あなたのために 創り出した世界
歌と怒りの物語 タブーなどない
歌い 命も捧げる マイナー・キーで
人殺しすらも いとわない
始めよう
そろそろ
もう時間
いい頃合い
ドアを全部 閉め ショーを始めよう
非常口は明示 必要なことだから
制作者たちも来てる だから配慮を
制作者たちは―
自信家だから
ケナさないで
さあ
音楽が鳴り響き 火が灯される
ご来場の皆さん 静かに座って
閉じた瞼まぶたを やおら開ければ
さて ステージは どこ?
それは外なのか あるいは中か
外か中か
外か中か
外か中か
では始めよう
そろそろ
もう時間
いい頃合い
“サンタモニカ”
やめろ
始めるな
じゃあな
ヘンリー 幸運を祈ってる
さよなら
じゃあね アン
気をつけて
行ってらっしゃい
真実の愛は常に
道を見いだす
怖い
怖い
真実の愛は常に
道を見いだす
だが真実の愛は
道に迷うもの
“ブロードウェイ・バー”
“オルフェウム劇場”
“神の類人猿 ヘンリー・マクヘンリー”
“アン・ドゥフラヌー”
ヘンリー!
早く!
まだか ヘンリー!
ヘンリー ヘンリー!
そうとも 笑え笑え
ご来場の皆さん
覚悟は いいか
いや 誰も覚悟なんか できてない
何しろ少々 攻撃的な夜会だ 主人公は神の類人猿
実験的なステージに挑むは―
世界に悪名をとどろかす ヘンリー・マクヘンリー!
愛してる ヘンリー!
このスモークめ
そもそも何の意味がある?
アレルギーになりそうだ
笑気ガスにしてくれ
その方が楽だぜ あるいは いっそ―
青酸ガスとか
今夜は お前らを 笑わせに来た
そうとも 笑え笑え
だが失敗するかも
どうせなら やめちまうか
人を笑わせるなど ヘドが出る
詐欺師の芸当だ
なぜ お前らの 前頭前野を刺激する?
顔面筋を収縮 大頬骨きょうこつ筋を反応させ
喉頭蓋こうとうがいを動かすため?
拍手!
そうさ なぜ俺が―
お前らを…
笑わせるんだ?
俺にやらせるな
我慢ならない
その笑い声
何て退屈な奴ら
まず俺は
あえがせる
だが心配ない
おそらく
窒息などしない
首吊り自殺のようには
もちろん 俺も噂は聞いてる
俺のショーは客が死ぬと
だが契約書にある “余計なことは言うな”
こうだ
“ヘンリーは観客を 笑い死に させないこと”
肺も引き裂けないし―
アゴも外せない 腹も破裂させられない
だが―
ぜんそく患者は―
吸入器をしっかり持っとけ いいな?
いくぞ
笑え
やめろ
そう
なぜ俺はコメディアンに?
ハゲ頭の連中を喜ばすため? 悲惨な時代の緩衝材?
違う
喜びなき者を救うため? 常識に疑問を投げかけるため?
“知ってるつもり”は “知らない”と気づかせるため?
ああ 他にもある
笑顔で伝えるため
俺たち誰もが持ってる 憎悪と屈辱の根深い感情を
たとえば…
カトリックはイスラムを イスラムはカトリックを
ツチ族はフツ族を 皆はユダヤ人を憎む
で なぜだ?
そうよ なぜ?
なぜか?
なぜコメディアンに? 金儲けのため?
違う
そりゃ貧しく 過酷な環境で育ったし―
今は大金も手に入れた
では なぜコメディアンに? 名声のため?
そうじゃない
名声は炎のようなもの
輝かしくも―
余分だ
高名は悪名のため
では なぜコメディアンに? 死を恐れるため?
違う 俺は地獄に 共感を覚えてる
A B Y S Sじごくだ 字を知らないのか?
だから俺は決して―
深い淵に目を向けない
そこの女性 胸に深い淵が
では なぜコメディアンに? 女と寝るため?
そうじゃない
説明しよう
いいか
俺の女漁りの日々は終わった
なぜなら―
ある人と出会ったからだ
彼女は とても…
すべてが急展開
俺は彼女の宮殿へ越した 彼女は女王だ
そして―
婚約もした
分かってる
俺みたいな青二才が 結婚するなんて―
タマにブロックを結んで 大西洋を泳ぐこと
それでも婚約した
若い頃は逃げてたが
相手は誰か聞きたいだろ どこの物好きかって
今のところ冗談でなく アン・ドゥフラヌー
ウソ!
オペラのスター
何か問題でも? アンと俺じゃ祝福できない?
神への冒涜か?
なぜだ? 彼女は―
完璧すぎる?
その通り
それじゃ 俺は 胸くその悪い虫か?
その通り
よし 認めよう
初めて恋に落ちた
彼女の隣で目覚め―
とにかく一番デカいバイクを 買いに走った
そして逃げた
できる限り遠くへ
ソプラノ歌手が俺を変えた
俺は変わった
どんな風に?
まだ分からない 時が経たないと
俺が惹かれた理由は 明らかだ
でも彼女は なぜ俺に?
それは少し謎だ
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