The first 200 lines.
鳴るぞ 法螺貝 陣太鼓。➡
野馬追行事の全ての合図は この陣貝によって…。
<7月の終わり 心躍る季節がやって来た。➡
1,000年以上続く祭り 相馬野馬追>
ほら いた 来た!
拓馬! 拓馬!
そりゃ いるでしょうよ。
拓馬! 拓馬! 拓馬~!
やめてよ 恥ずかしい。
頑張れ~!
どした? ハル。 あんべえ 悪いが? ん?
≪(法螺貝の音)
変わってるよね お父さんも。
あんなに馬ばかなのに 野馬追は…。
負けた馬の祭りって…。 うん。 年に一度しかない➡
地域の一大行事に 顔も出さないなんて…。
そういうところが お父さんは…。 ≪(夏雄)おばさ~ん!➡
おばさん おばさん!
よっしゃ~ ぎりぎりセーフ!
ああ 将子 帰ってだのか。 げっ。
「げっ」て…。 何だよ そのリアクションは。
何やってんの あんたたち。
あっ ほら!
行け! 拓馬~!
お~! 取った~!
私の息子 私の息子 私の…。
やったな!
拓馬! おめでとう! ハハハッ。
拓馬 おめ やったな! ありがとう 佐渡さん。
はい~! よくやったな 拓馬!
おいおい 拓馬君さ。 うそ 冗談だ。
おめも 来年こそは。 えっ?
きっと みんな 思ってるべ。
馬 走らせたら 今でも夏雄が一番だって。
よぐ走ったな モモコ きっと 馬がよかったんだない。
ハハハハッ。 乗らしてくれで ありがとない 佐渡さん。
本当はさ 自分とこの馬で出れればない。
いや このうちは 親父がよ。
雅之は 野馬追の事 ばかにしてんだから。
は~い みんな どいてくんねがい。
うちの男前 連れて帰って お祝いすっからさ。
おめでとうございます。 ご声援 ありがとうございます。
じゃあ 私 行くね。 えっ?
将子! 来年も見に来いよ! 野馬追。
<兄や母 町の人々が➡
野馬追祭りに心躍らせる日が 必ず来る➡
そう思っていた>
親父! 母さん 御神旗。 はい。
ジャ~ン!
うん。
フッ。
すみません 特記事項 確認できてなくて…。
俺に謝ってもしょうがないから。
先帰っていいよ。 もう一件 回って帰るから。
申し訳ありませんでした。
もしもし。
もしもし 将子 今 大丈夫?
忙しい?
あの… この前 話してた おじいちゃんの7回忌 帰れっけ?
いや その時➡
納屋の修理 手伝ってもらおうと思ってさ。
ほら うちは 男手ないみでえなもんだから。
お父さんも お兄ちゃんも ハルに夢中。
うちの事なんか 全然 そっちのけ~。 ヘッヘッヘ。
ハル。
落ち着がねな。 乳やにもついてきてるし…。 ん?
じゃあ もう 産まれんでねか? いつ 陣痛来ても…。
あっ! あっ。
あ~ もう これ 買い替えよう。
まだ使えっぺ。 いいだろ バケツぐらい。
親父! うん。
今年の野馬追さ➡
もっと うちも 積極的に参加して…。
ほら 野馬追用の馬 預がっと 預託料も取れるし。
親父も たまには顔出して…。
あれは 負けた馬の祭りだ。 まだ そんな…。
あれに出る馬は 引退した競走馬だ。
繁殖にも使われねえ。
ほんでもよ 昔からの伝統だって みんな 大事にしてる。
馬作るのだって 伝統だ。 そういう町だったんだ 相馬は。
それを みんな 根性なくて やめたんでねが。
とにかく うちからは馬は出さね。
いいか ハル。
大枚はだいでよ いい種付けたんだから。
丈夫な子 産めよ。 ん?
ほんで ハルの子がGⅠ馬になっだら➡
バケツなんて なんぼでも買える。
フッフフ。
親父。 うん。
子馬の名前 俺が付けてもいいが?
うん。
ただいま!
帰ったよ~。
お帰り。
よっ。 お疲れ。
はい どうぞ 召し上がれ。
うん おいしそう。 本当 お母さん 倹約料理の名人。
倹約は余計だけどね。
お父さん。 うん。 「頂きます」。
うん 食え。 フフフフ…。
よし 決まった~ これしかねえ!
ジャ~ン! 発表すっから。
リヤン・ド・ノール。
えっ? リヤン・ド・ノール。
もしかして 子馬の名前?
そうだ 未来のGⅠ馬!
また そんな夢みたいな…。
本気だ。
フランス語でよ 「北の絆」って意味だ。
フランス語? どっからパクったの?
パクってねえよ。 インターネット見て 調べまくったんだぞ。
だっさ! 何だ このエセ東京人!
お父さん その ハルの子は 売るんですよね?
やっていける訳ないって 分かってますよね?
いくら お父さんでも。
何の話? 子馬 売らないの?
できれば うちで このまま。
うちは生産牧場。 生まれた子馬を売るのが仕事。
だから もし いい育成牧場 見っかんなければ…。
種付け料 いくら 払ったと思ってる?
毎月 飼育費 獣医さん代 出ていく一方なのに➡
このまま ここで育てようなんて…。
お父さん! うん? 座って ちゃんと。
また むちゃ言って。 育成なんて無理だよ。
おめ 黙ってろって。 家計支えてるの お母さんだよ?
お兄ちゃんだって バイト 缶詰工場だっけ?
基板のビス止めな。 うん。 空き時間にバイトして…。
私だって 仕送りしてる。 ほんのちょっとだけど。
ハル 見てくる。 お父さん!
ん~ いっつも そう! もう だんまりなんだから。
大丈夫 俺が守っから。
え?
もし 母さん 大変ならさ 預かる馬 増やすから。
心配すんなって。 松下ファーム 俺が守っからよ。
フフッ。
何か 最近 お兄ちゃん お父さんに似てきたね。
「大丈夫 なんとかする」って。 全然 何ともならないのに。
現実 見てないっていうか…。
まあ 気質だね。
気質?
お父さんだけじゃない。 おじいちゃんも 拓馬も➡
馬が好きっていうか 馬ばかっていうか。
代々 受け継がれる 我が家のDNAっていうのかな。
え~ お兄ちゃんもああなんの? 勘弁してよ。
本当に 確かに それは困るね。 う~ん。
いくら 勝てる馬育てても 途中でけがしたら 終わり。
負けたら大赤字。 まるで ギャンブルみたい。
ほら お父さん 昔 北海道にいたでしょ?
その時 たまたま育てた馬が GⅠレースに出たりしたもんだから。
あの時の夢 諦めきれねんでねえがな。
だったら ずっと 北海道にいればよかったのに。
それはそれで お母さん ついていけたかな?
あっ そっか。 フフッ。
DNAねえ。
将子 明日 法事終わったら すぐ帰んだべ?
送ってでやっか? うん。
どうした?
ねえ お兄ちゃんさ➡
このまま 牧場 後 継いで続けたいって➡
本気で思ってんの? 何だ 急に 今更。
だって 昔はさ もっとほかに いろいろ言ってたじゃん。
そりゃあ 昔はな。
でも 親父につきあって 牧場やって➡
今はよがったど思ってるよ。
リヤン・ド・ノール。
「北の絆」だっけ? おう。
生まれてくる子馬 リヤンがさ 勝って おふくろ びっくりして。
おめも 「お父さん お兄ちゃん すてき!」とか何とか➡
急に手のひら返しで。
言わないけどね そんな事。
そしたら リヤン 家族みんなの絆になっぺ。
町の絆にもよ。 相馬は馬の町だから。
そんな ばかみたいな…。
分がってる。
でも 俺と親父のばかみたいな夢が この町のみんなの夢になったら➡
最高だべ。
えっ? お兄ちゃんは?
送ってってくれるんじゃ なかったの?
親父がさ 今から 福島に用があるんだってよ。
え~。 俺はほら ここの片づけあっから。
まあ たまには 親子水入らず ごゆっくり。
もう…。 ≪(クラクション)
じゃあね。 おう。
またな! うん。
お母さんに これ以上 苦労かけないでよ。
ずっと働きどおし。
家事やって 馬の世話まで手伝って➡
倒れないのが不思議。
ハルの子 育てて 競走馬にするっていっても➡
相馬なんて辺鄙な場所で GⅠなんて無理 無謀。
痛っ! おめは口出すな。
結局 お母さんも お兄ちゃんも➡
お父さんのむちゃに つきあわされてるんだと思う。
もう そろそろ いいかげん…。
はい 皆さん 出口 こちらですよ 足元に気を付けて。
こっちも みんな 今から 本町会館に移動するところ。
将子たちも すぐ来てよ。
分かった。 拓馬は?
まだ つながんない。 ≪(女性)足元に気を付けて下さい。
とにかく 気ぃ付けて。
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