The first 200 lines.
ジョークには偉大な知恵があるんだ、ファルク。本当にね。
古いジョークがあるんだ。 リングに立つプロボクサーの話さ。
彼はボコボコにされている。
観客席には母親がいて、 息子の負けっぷりを眺めている。
隣にいた神父に彼女が言うんだ。 「神父様、あの子のために祈ってください」
神父は答える。 「祈りましょう。だが、彼がパンチを出せればもっといいのだが」
そのジョークには、もっと深い洞察がある。
私が「巨大な『それがどうした』」と呼ぶものへの洞察が、
たいていの哲学書よりも詰まっているんだ。
女性だ。
カミュは言った。女性こそが、 私たちが地上で知りうる唯一の
楽園だと。
君の場合、ファルク、 ヘニー・ヤングマンがよく言っていた
素晴らしいジョークがある。 あれは完璧だと思うよ。
君の状況を完璧に言い当てている。
男が医者の診察室に入ってくる。
男が言う。「先生、ここをこうすると痛むんです」
医者は言う。「なら、そうしなければいい」
よく考えてごらん。
彼がデヴィッド・ドーベル、 そして私はジェリー・ファルク。
私たちはよく公園を歩きながら、 何時間も語り合った。
最初に出会ったとき、 彼がどれほど変人か分かっていたかって?
出会ったのは、いわゆるインテリ芸人の エージェントのオフィスだった。
私たちはコメディライターで、 業界に食い込もうと必死だった。
ナイトクラブ用のネタを書いてね。
違いといえば、私が21歳で、 彼が60歳だったことくらいさ。
彼は真理を求めている。 単なるジョークじゃない。真理をね。
有名どころに払う法外なギャラは 私たちには出せない……。
一つ言わせていただきたい。
デヴィッド・ドーベルについては何とも言えません。 私は彼を担当していないので。
実のところ、ジェリーと私も彼とは今会ったばかりで。
ですが、ジェリー・ファルクはデビュー時から担当しています。彼なら、
払った金額以上の最高品質をお届けできます。
スーツを買う際、安物の生地でも 高級品と同じ裁断にすることは可能です。
ジェリーは手が届く価格で、 質の良い生地を提供します。これ、ギャバジンですか?
君を担当しているその生地屋のセールスマンは誰だ?
ハーヴィーか? 聞くな。 私の背負う十字架だよ。
クビにしたいが、 彼には私しかクライアントがいない。
あのトロールに給料の10パーセントも払っているのか?
20パーセントさ。実際は25。 長い話になる。
彼には、結婚が破綻した時に 助けてもらったんだ。
君が……まさか、 若くして結婚したんじゃないだろうな。
刺激的だと思ったんだろう。 結果は退屈の極みで、
君が彼女を捨てた。 違ったか?
違うよ。彼女が出ていったんだ。 僕は誰とも別れられない。
分析の主な問題点さ。 一人で寝るのが怖くてね。「退屈の極み」だと?
- すでに精神分析を受けているのか? - ああ。かなり真剣にね。
ロサンゼルスでのテレビの仕事を断ったんだ。 精神科医にまだ治療中だと言われてね。
君は現実よりも精神分析を選んだのか?
学習障害でもあるのか?
明らかに、君は分析についてよく分かっていないな。
間違いだ。完全に理解している。
ペイン・ホイットニー病院で、似たような詐欺師どもに それを押し付けられそうになった。
- ペイン・ホイットニーにいたのか? - そうだ。精神病院だよ。
精神科病棟に半年間いた。 懐かしむような休暇じゃないな。
そうなのか?
落ち着け。 何もそんなに離れなくてもいい。
いや、君が暴力的だったと言いたいわけじゃない。
だが、私は暴力的だった。 だから拘束衣を着せられたんだ。
拘束衣を着せられたのか?
斧で君の頭を割ったりはしないから。
- 怖がることはない。 - ただ驚いただけさ。
何があったんだ? なぜそこにいた?
ある女性と別れてね。
それで精神科医につけられたんだが、 「なぜそんなに落ち込んだのか」
「なぜあんなことをしたのか」と聞かれて、 「彼女を愛していたのに去られたからだ」と答えた。
すると医者は、 「ふむ、そこを掘り下げる必要があるな」と。
「掘り下げることなんてない! 彼女を愛していた、それだけだ!」と言ったんだ。
そしたら医者は、 「なぜそんなに感情的になるんだ?」と。
「彼女が欲しいからだよ!」と言い返した。 「その根底にあるものは?」と聞かれたから、
「何もない!」と答えた。
医者が「薬を処方しよう」と言うから、 「薬なんかいらない!彼女が欲しいんだ!」とね。
医者は「根気よく取り組もう」と言い出した。
それで、窓枠にあった消火器を手に取り、 医者の首の後ろを叩き割ったのさ。
気がつくと、電力会社の連中が 私の頭にジャンパーケーブルをつないでいて、後は……。
なぜ君は分析を受けているんだ?
一人で寝るのが怖い以外に、何がある?
死への恐怖だ。
面白いな。私もそれがある! うちの犬もそうだ。
生き物にはよくあることさ。
それに、ガールフレンドとうまくいかなくてね。
- ガールフレンドがいるのか? - 深く愛し合っている。
本当に?
ああ、最も美しく、チャーミングで、セクシーな……。
- だが、うまくいかないことがあると。 - 乗り越えられるさ。
だが、苦しい葛藤があるんだ。
彼女は難しいところがある。 君も好きになるはずだ。最高に魅力的でね。
- 魅力的だが、手に負えないのか。 - 手に負えないとは言っていない。
- 言ったぞ! - 難しい、と言ったんだ。彼女は難しいところがある。
今は「難しい」か。 すぐ「手に負えない」になるぞ。
彼女は僕の夢を応援してくれている。 夢って何だ?
小説を書こうと思ってね。
空虚な宇宙における人間の運命についての小説だ。
神も希望もなく、ただ人間の苦しみと 孤独があるだけさ。
ジョークだけにしておけ、金になるのはそっちだ。 送ろうか?
いや、大丈夫。 ガールフレンドと待ち合わせだから。
今日は記念日なんだ。
そうだな、来週あたり、 良ければだが、
あのインテリ芸人の 難解なジョークを見に行こうか。
もちろん、最高だね。
面白い話さ。昔、タクシーに乗った時なんだが…… 何年も前のことだ。
運転手に、君がさっきから くどくど言っているようなことを
ぶちまけたんだ。
生、死、空虚な宇宙、
存在の意味、人間の苦しみ。
すると運転手が言ったのさ。
「兄ちゃん、何事もそんなもんさ」
よく考えてごらん。
彼はルーズベルト島に住む教師だった。公立学校のね。
辞めてコメディ一本で食うのが怖かったんだ。 彼が言うには、食べるに困るのがどういうものか知っていたからさ。
「難解なジョーク」? 「退屈の極み」?
さて、アマンダとの待ち合わせに向かわないと。
僕は定刻通り、彼女は遅れてくる。
彼女はいつも遅刻するし、だらしない。
ちなみに、それが一番の問題じゃない。
彼女には手を焼くが、会えば分かるさ。
最高に愛らしいからね!
- ジェリー! - アマンダ!やあ!
- 遅れた? - ロッキー山脈標準時ならね。
タクシー代払ってくれる? 財布を忘れちゃった。
タクシー代を払う? 状況が分かってきたか?
7時半って言ったよね。
ごめんなさい!
予約を取るのが大変だったの。
- どうしたんだ? - 機嫌が悪いの。
- 分かるよ。なぜ? - 今日のオーディション、散々だったの。
君はいつも自分はダメだと思っているよ。
読むまでは自信満々だったのに、 いざとなったら完全に固まっちゃって。
思いつめるなよ。 きっとそんなに悪くなかったはずさ。
自分が一番の敵なのよ。 寝ていてもできる役なのに。
できるのは分かっている。 落ち着こう。
美味しい夕食にしよう。 ワインを飲めばリラックスできるよ。
面白い男に出会った話をしてあげる。 すごく興味深い人なんだ。
怒らないでね。私、もう食べちゃった。
食べたのか?
オーディションから帰ってきて お腹がペコペコだったから、
サラ・リーのチーズケーキを 一切れ食べたの。
それからもう一切れ。 始めると止まらないの、知ってるでしょ。
すぐにケーキを丸ごと食べちゃった。
サラ・リーのチーズケーキを 丸ごと食べたのか?
それで、もうどうにでもなれと思って! 冷蔵庫のスパゲッティも食べて、
ロブスターの尻尾を食べて、 チキンポットパイも温めたの。
家の中に家具は 残っているのか?
私、太りすぎて最悪。
どうして夕食前に食べられるんだ?
ごめんなさい。台無しにしちゃった自分が 許せなくて。
つい食べちゃったの。
隅の席を予約したのに。
いいよ。君が注文して、僕はクラブソーダにするよ。 どうせダイエット中だし。
一人しか食べないのに、 一番良い席は使えないわ。
失礼だもの。
- 大丈夫だよ。 - いいえ、ダメよ。
夕食時で、店は 満員なのよ。
どう見えると思う?
どうして君はいつも 他人の目を気にするんだ?
一人しか食べてなかったら 恥ずかしいじゃない。
分かった。食事を注文して、 一口も食べなければいいんだね。
そんなのできないわ。
じゃあステーキを注文して ドギーバッグに入れてもらえばいい。
夜食にするよ。
どんな記念日のディナーよ?
「ディナーを頼んで、それを持ち帰りにできる?」だなんて。
ワインを飲みながら、 君の目を見つめて、
君がどんなに美しいか伝えたかったのに。
美しくないわ。太ってるの。
分かったよ。予約はキャンセルする。
家に帰ろう。卵か何か作るから。
卵はもうないわ。 全部食べちゃった。
何をしているんだ?
サンドイッチを作ったの。 ツナ缶が残ってたから。
神に感謝だ。彼女はまだ新しい電動缶切りを 使いこなせていないらしい。
母さんが引っ越してくることになったの。
- 何だって? - 母さんにすごく腹が立ってるの。
ちょっと待て。 何か聞き逃したかな?
ボーイフレンドと別れたのよ。
どういうことだ? やっと落ち着いたんじゃなかったのか。
結局、母さんはボヴァリー夫人なのよ。
パークアベニューの医師と結婚しても、 母さんには退屈すぎたのね。
それにトム、マネーマーケットのやり手、
それから旅行代理店のペリーもいたわ。 でも、それじゃ足りないの。
足りない? 何がだ?
母さん自身も分かってないわ。 さらなる空想よ。
若さを取り戻したいのよ。
「手遅れになる前に人生を謳歌したい」んだって。
- それが母さんの言葉よ。 - なぜここに来るんだ?
お金がないのよ。 行く場所がないの。
アマンダ、部屋がないよ。 ここには空き部屋はない。
書斎にベッドを置けばいいと思って。
書斎だって? アマンダ、 そこで僕が書いているんだぞ。
僕の創作の場だ。 僕の世界は全部そこにあるんだ。
リビングで書けばいいじゃない。
それから、あんなにひどい言葉を使ったこと、謝るわ。
母さんのこと、本当に愛してるの。
だからこそ、母さんの幸せを見たくて。
それと、ジェリー。
何でもない。
母さんを受け入れてくれる?
もちろん、アマンダ。愛する君のためだ。
ありがとう。あなたは本当に優しいわ。
でも、書斎のことは考え直してくれないか?
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