The first 200 lines.
(ページをめくる音)
(アラーム音)
(アラーム音)
(舌打ち)
(舌打ち)
(音声アナウンス) 定時測定を開始してください
(哲夫)ハァ…
(音声アナウンス) 定時測定を開始してください
(脳波測定装置の信号音)
(波の音)
(鎖を引きずるような金属音)
(金属音)
(スピーカー:信号音)
(金属音)
(金属音)
(信号音)
(金属音)
(スピーカー:警告音)
(井出(いで))えっ?
何 これ?
(近づく金属音)
(すぐ近くで鳴る金属音)
(哲夫)ああっ…
(井出)何が起きたの?
(警告音)
(金属音)
(井出)リンクが切れる…
間に合って
(キーをたたく音)
(金属音)
(VRゴーグル:哲夫) あっ あっ… ああ…
(波の音)
(近づく金属音)
(鎖を引きずるような金属音)
(哲夫)あ… あっ!
あっ あああ…
あっ…
(女のささやき声)
(2人)あっ…
ああっ!
ちょっ… 園田(そのだ)さん!
(哲夫のおびえる声)
(哲夫)あああー!
あっ 園田さん!
ダメ!
(女のささやき声)
(女)あわれ あわれ…
(女)あわれ あわれ…
(井出)誰?
あっ…
あああ… わあああ…
あっ… あ…
(水中で もがく哲夫の声)
(水が滴(したた)る音)
(波の音)
(井出)お待ちしてました (友彦(ともひこ))え?
片岡(かたおか)くんでしょ?
(友彦)あっ はい (井出)ああ… 失礼
初対面よね あなた 有名だから つい…
“シンセカイ”へ ようこそ
改めて デナゲート社の井出です ここでチーフをやってます
(友彦)どうも
(文字が浮かび上がる音)
あ…
未来を担う才能を“くん”呼び しちゃってゴメンなさい
いえ そんな…
(友彦)これ…
島ごと全部 スキャンしたんですよね
すごい
(井出の声)私たち “シンセカイ”のプロジェクトは
サンプルとして この島全体をデータ化して
バーチャルの空間に そっくり同じ島を作ってるの
今のメンバーは 私を入れて5人
みんな若いけど
私が選んだ 優秀な プログラマーたち
そこに あなたも 加わってほしいの
落ち着いたら 直接 相談したいことがあるの
え?
お互い 脳科学の スペシャリストとして
あなたの ここが どうしても必要なの
(女の子の声)あの…
あの…
あの~
何してるんですか?
何 これ? えっ 何か見えるんですか?
へえー
えっ かぶってもいいですか?
(友彦)あっ ちょっと勝手に…
えっ それ見てたんですか?
えっ…
何 これ?
(栄(さかえ))おい リン! (リン)ん?
(栄)いや 何してるわけ?
ほんとに気の多いヤツじゃや
知らん男に やたら近づくなっちゃ!
(船内アナウンス) ご乗船の皆様に お知らせします
本船は まもなく 境島(さかいじま)に着岸いたします
下船の際には 船内に お忘れ物のないよう
ご注意ください
繰り返します 本船は…
(山本(やまもと)の声)なんで島なん?
…って思わへんかったですか? ITやのに
(友彦)いえ 別に
(山本)ああ そうですか
帯域(たいいき)が確保されて ネット環境があれば
都会と遜色(そんしょく)ありません
シンセカイは 現状では クローズドな開発環境ですし
物理的に 隔離されている離島は
セキュリティー面から むしろ IT企業向けです
(山本)そそっ… 確かに そやねん
ただ…
非科学性も同居してる
(山本)ああ
多分 近くに ユタの家が あるんですわ
(友彦)ユタ?
“呪(まじな)い師(し)”っちゅうか…
いわゆる 地元ゆかりの “シャーマン”ってやつやね
今も まだ数人いるらしくて
この島の連中 何か困り事があると 頼ってるようやし
まあ うちらとは 真逆にある世界の話ですわ
(友彦)ありがとうございます
(友彦)あっ これは大丈夫です
あれ シゲさん
俺らの飯 洗濯 掃除… 何でも よう動いてくれはる人なんで
片岡先生も 何かあったら 遠慮なく
(友彦)はあ…
(山本)みんな~ 脳科学の大先生の ご到着やで!
(山本)あれ?
あ… ちょ ちょっ…
ちょっと待ってて
シゲさん それ 先生の部屋 持ってっといて
おーい! 下かな?
(波の音)
(山本)先生 どうかしました?
(友彦)あ… いえ
(山本)こっちですわ
どうぞ
(階段を下りる音)
(山本)先生 足元 気ぃつけてください
(解錠音)
(山本)さあさあ
みんな ご到着やで
(葵(あおい))シンセカイへ いらっしゃい
(葵)三浦(みうら) 葵です (北島(きたじま))どーもー
(未央)片岡友彦くんね? 私 深澤未央(ふかさわみお)
(北島)いやあ 噂(うわさ)は かねがね 俺はコージ 北島弘治(こうじ)
まあ 普通に “コージ”で呼んでくれたら…
(友彦)あの… 僕の卓(たく)って どこですか?
あああ… 先生
ここで いい?
(葵)フフッ (北島)いやあ…
(未央)え… てか “はじめまして”だよね うちら
(北島)えっ あのさ 君 せめて挨拶くらい ちゃんとさ…
(友彦)あれ? なんだ まだシステムユーザーのままか
(友彦) 僕のユニットって どこですか?
(未央)ああ…
(友彦)あっ すいません 開けまーす
(北島)はあ? お前さ ちょっとさ…
(山本)まあまあ 北島ちゃん
(山本) 先生 もうボード入ってるし
そんなん入れんでも…
皆さん よろしく
(タイピングの音)
(友彦)それでは入ります
(キーをたたく音)
(波の音)
(山本)あれ? 何や これ?
ウソ! マジで!?
(2人)潮の香り!
(葵)匂いも感じる すごい!
ホンマや! なあ?
こ… これ お前が1人で?
ええ
でも…
こんなに うまく共有できるとは
(山本) これ どうやったんや?
特定の匂いや感覚の視聴覚情報が 感情や記憶を呼び起こす⸺
プルースト効果を 逆に利用できないかと…
要は 海馬の信号から 大脳皮質の 視聴覚領域を同期できるよう
ヘッドセットからの情報に 混ぜ込んで
記憶の痕跡を活性化させたんです
(山本) はあ… そんなことが…
とはいえ 再現できるのは まだ
潮の香りみたいな 誰でも 体験したことのある感覚だけで…
(ノイズ)
個人的なものとかは 難しいんですが
(ノイズ)
(山本の声:ノイズ交じり) 何にしても
片岡友彦! 自分すごいわ
(葵の声:ノイズ交じり) 友彦くん すごい!
(未央の声:ノイズ交じり) すっごーい!
(音声が途切れる)
(文字が浮かび上がる音)
(鎖を引きずる音)
ハッ…
(鎖を引きずる音)
(近づく鎖の音)
(鎖の音) (友彦)あっ…
ハッ!
(友彦の荒い息)
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