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Hasegawa Machiko Story
A Commentary by kimky
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Published on: 2018-09-12
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The first 191 lines.

<その瞬間 私は 生まれました>

町子お姉ちゃん?

町ちゃん?

<このとき 26歳>

<ある人は 彼女を こう言います>

<一生を懸けて いちずに 仕事をした人だと>

そう。 あなた。

<でも ホントのところ➡

彼女の素顔は 意外と 知られてません>

うーんっと。

<私に そっくりと 言う人もいれば➡

いやいや ホントは 引っ込み思案の➡

人見知りだって言う人も>

<ある人は 少女のまま生きた人だと>

<ある人は 人間の奥底を のぞいていた人だと>

<だから こっそり お伝えいたします>

<私 サザエの生みの親 長谷川 町子さんの物語を>

奇麗ね。 うん。 フフフ。

町子さん。 また あした。 うん。 また あしたね。

さよなら。 さよなら。

ただいま。

<風邪から 肺炎になったのを きっかけに➡

長く 病に伏せっていた父は➡

私が 女学校に入って間もなく 亡くなりました>

ただいま。 おかえり。

お茶 飲む? うん。

<そして 自活の道を 知らない 女ばかりが 残されました>

手 洗わんと。

<母は 父の死から 1年間 泣いて暮らしましたが…>

あんたたち。 自分の荷物ば まとめんしゃい。

荷物?

東京に 行くばい。

東京?

あっ。 ここが。 あっ。 はい。

あっ。 よいしょ。 ああー。

ねえねえ お母さん。 何ね?

また すぐ 帰ってこれると?

本当に 大丈夫なん? 私 帰りたい。

心配せんでよか。 聖書にも 書いてあろうが。➡

神様を信じて まっとうに暮らせば➡

どんなに 貧しい家の子供でも 食べるに困ることはなか。

でも。 ああー。

お母さん 考えたと。

お母さんに できるとはね あんたたちが これから➡

自分の足で 立って 歩いていけるごと➡

教育することなんよ。➡

みんな 立派な天分ば 持っとう。

きっと 世の中に 認められるようになるけん。

うん?

ああー。 えーっ?

何事や? 誰か お偉いさんの ご遺体でも➡

乗っとうとか? おう。

皆さん。 ありがとうございます。

お母さん。 やめりって。 恥ずかしいよ。

いってまいります。 ありがとうございます。

<昭和9年 4月>

<少ない蓄えと 多くの不安を 懐に➡

私たち一家は 東京を 目指したのです>

<私は 山脇高等女学校 3年に 編入>

長谷川 町子です。 出身は 九州の福岡です。

東京は 初めてやけん 分からんことも 多か。

ばってん みんなと 早 仲良くなりたいと 思いようけん➡

よろしく お願いしますばい。

「ばってん」って。

「ばい」って。

よろしく お願いします。

ねえ。 早く貸してよ。 あーあ。

こげんことなら 学校なんか辞めて 田河 水泡の 弟子になりたかよ。

あっ! 弟子にしてもらわんね。

はい?

毬子。 はい?

毬子お姉ちゃん。 じゃない…。

≪(猫の鳴き声) 違うな。

≪(犬の吠える声)

あった。

待って。 ホントに 行くん?

お母さん。 一度 言いだしたら 引かんの 知っとうやろ?

わが家の ヒトラーやけん。

ばってん 田河 水泡っていったら 日本で 一番の 流行漫画家よ。

その 田河 水泡の 弟子になりたい 言うたとは 誰ね?

ごめんください。

はい。

長谷川と申します。

田河 水泡先生に お会いしたいんです。

妹を 弟子にしていただきたくって。

先生は 今 お忙しいので お引き取りください。

お邪魔しました。

先生に 会うために➡

私たち 九州から はるばる 出てきたとです。

お姉ちゃんたち 大丈夫やろか?

大丈夫。 お父さんの命日やけん。

きっと お父さんが 背中 押してくれる。

あのう。

えっ?

あっ。 あっ。 どうぞ。

えっ。 ちょっ…。 座って。

えっ…。

フッ。

町子さんは 絵も うまいけれど➡

滑稽をつくるのが うまいね。

いいよ。

弟子にしましょう。

よろしく お願いいたします。

やーっ! アハハハ…。

絵も うまいし 滑稽をつくるのも うまいって。

でも あれって お父さんの俳句やない?

ちょっと 拝借しただけ。 ちゃっかりしてるんだから。

お父さんの おかげやね。 うん。

わーっ! やーっ!

<昔から とにかく 絵は好きでした>

《さてと》

《うん? 毬子》

《お客さまに 差し上げる 草餅の包み 知らん?》

《中身は 無事のことよ》 《えーっ?》

《あっ。 やられた!》

<2歳のころから 家にいれば 片っ端から 描きつぶし➡

とにかく 絵は好きでした>

《町子!》

《あっ》

《頂き!》 《あっ》

《引っ張れ 引っ張れ。 もっと速く 引っ張らんか!》

《力なかのうばい》

<外に出れば 自然の中で➡

バッタのように 跳ね回っていました>

《痛…。 痛っ》

《あっ》

《フフッ。 何ね 町子》➡

《ああ。 また 擦りむいてからに。 うん? うん?》➡

《うん。 ポケットに 何か 入っとう。 うん?》

《はい》

《さあ。 こいで 何 描くか。 うん?》

<父は 三菱炭鉱の 技師をしていました>

<おしゃれで カッコ良くて 動物好き>

<趣味は 俳句>

《「御降りの 祝儀に 雪も ちらりかな」》

《よか》

<「御降り」とは 正月 三が日に 雪が降ること>

<私は 父の俳句を 漫画にしたのです>

ありがとう。

<東京に出てきて わずか 2カ月>

<女学校と 水泡先生のお宅に 通う日々が 始まりました>

先生。 お茶が入りました。 うーん!

「はーい。 あっ。 光倫社の編集さん?」

「水泡先生? あっ あの。 水泡先生は 今 お留守なんですが」

「お帰り? お帰り…。 それは いつになるやら 分かりませんな」

「はい。 えっ? あっ。 お急ぎ?」

「では そのように あのう 先生に お伝えしますので」

「はい。 いえいえ…。 こちらこそ」

ああ…。

ハァー。

ああー。 いい天気だ。

≪(水泡)町子さん。 ちょっと! はーい!

それっ。 卵と 牛乳と 砂糖で➡

アイスクリームが 作れるという。 はあ。

だが もう 手が限界だ。 ほら。 ほら…。

はっ? ほら。 代わってくれ。

ああ! ああ! ああ…。

遅い。 遅い。 もっと。 もっと。

早く。 早く。 早く。 早く。 早く。 はい。

持ち方が悪い。 こう…。 ああ…。

よし。 よし。 先生…。

もっと早く。 もっと早く…。 先生!

えっ? お仕事は?

えっ? お仕事。

君は 料理をやったことがないな。 もう。 はい。

はい! もっと早く。 早く。

≪(水泡)町子さん。 ちょっと。

先生の番ですよ。

あっ! あーっ。 もう1回。 もう1回 最初から。

最初から。 最初から。 最初から。

≪(水泡)町子さん。 ちょっと。

今度は 何ですか?

ねっ? 女の子の弟子。 珍しいでしょ?

女の子の漫画家…。➡

それは 新しいな。 読者に 一番 近いってことですもんね。➡

あっ。 僕 こういう雑誌の者です。

よかったら ひとつ 面白い漫画 描いてみてよ。

えっ?

面白い漫画。

うーん。 うーん。

うーん! うーん! ああー! ああ…。 うーん。

あっ。

<これが 苦難の始まりでも ありました>

あのう。 駄目ですよね?

うん。 全然 駄目だね。

うーん。

どうした?

何か 考えれば 考えるほど 分からんごとなってしもて。

面白い漫画って どげんしたら 描けるんでしょう?

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