The first 200 lines.
あ~ ありがとうございます。 これで いい?
このたびは 本当に ありがとうございました。➡
勝呂先生のおかげで 大事にならずに済みました。
とんでもない。
将軍閣下も いたく お喜びでした。
灰色の脳細胞を働かせたのです。
まさか 殺人に見せ掛けた 自殺だったとは思いませんでした。
いや~ きてれつな事件でしたね。
勝呂に言わせれば 単純な事件でしたよ。
自動車は 何をやってるんですかねえ。
列車の時間に 間に合えばいいのですが。
フグの一夜干しは お食べになりましたか?
いえ。 こっちのは うまいですよ。
売店に行って買ってきます。 汽車の中で つまんでください。
いや 干物は あまり好みでは…。
≪(馬場)今は駄目。 今は駄目よ。➡
全て終わってから。 ちゃんと片付いたら。➡
そしたら。
行きましょう。 時間よ。
海は嫌いです。 あ~ 生臭いったらありゃしない。
海が見たいと おっしゃったのは ご自分でしょ?
急ぎましょう。
嫌だわ 私。
どうかされましたか? マダム。
あっ 切符を どこかに しまったはずなんですけど…。
いつも こうなんですよ。
自分が嫌になる。
どこかに 挟んだのではないですか?
あの これは…。
ありました。
あなたは 神様に守られてるようですよ。
弱ったことになりました。 どうかされましたか?
乗車券は買えたのですが 寝台車が満席らしくて。
満席!?
珍しいみたいですよ この季節で。
一般車両は空いてないのですか?
お疲れになりませんか?
列車の旅は慣れておりますから。
2番線の列車は➡
10時40分発 東京行き 特別急行 東洋であります。➡
お乗り遅れのないよう ご注意ください。
すみません。
すみません。
これは どうやって食べるんでしょうか?
私には分かりかねます。 ああ…。
フグの一夜干しですか?
あぶって食べると おいしいですよ。
やっぱり そうですか。
あっ 勝呂さんじゃないですか。
莫さん! ご無沙汰してます。
こんな所で 何をされてるんですか?
いや 小倉で 1件 用事を済ませて 東京へ帰るところです。
次の 特急 東洋ですか? ええ。
私もですよ。
これは 旅が楽しくなりそうだ。 ハハハハハ…。
本当は 博多で➡
しばらく ゆっくりしようと 思っていたんですが➡
急に呼び出されましてね。
何やら 重大事件が起きたとかで。
いつも 仕事 仕事 仕事ですな。
まあ 日本を代表する名探偵だから しょうがない! フフフ…。
やめてください。 多少は成功したかもしれませんが。
ハハハ…。 そろそろ時間です。
そうだ。 鉄道省の重役のあなたに お願いがあるのですが。
私にできることなら何でも。
実は 帰りの寝台車の切符が 買えなかったんですが。
まさか。 あり得ん この季節に。
莫さんのお力で 何とかならないでしょうか?
天下の勝呂先生を 一般車両に 乗せるわけには いきませんよ。
私に お任せください。
フフフ…。 これ フグの一夜干しです。
よかったら どうぞ。
いえ とんでもない。 お気持ちだけ頂いておきます。
さっ 行きましょう。 ええ…。
あっ 三木! あっ 莫さま。
こちらの紳士に 部屋を1つ 取って差し上げてくれ。
大至急。 あっ。
私の大切な友人なんだ。
勝呂 武尊さんだ。 存じ上げてるだろ?
あっ 勝呂さま? あの 探偵の?
正確には名探偵です。
ハハ。 12号を頼む。➡
何かあったときのために 予備の部屋があるんです。
お心遣い 感謝します。
すいません 莫さま。 まさか 12号室も?
申し訳ございません。 どうなってんだ。 えっ?
どこかで会議でもあるのか? 団体客か?
いや 偶然が 重なったようでございまして➡
大勢のお客さまが➡
けさ 出発なさることに なったようでございます。
ハァ~ 弱ったな。 え~ 二等は どうなってる?
二等も あいにく ふさがっております。
はっ? あり得ん! すみません。
はい。 馬場と申しますが。
馬場さまでいらっしゃいますね。➡
馬場さまは あっ 二等の4号室に お入りくださいますように。
あちらの奥の扉から お入りください。
ということで 勝呂さま➡
いくら 日本を代表する 名探偵といえども➡
今日のところは 我慢していただきませんと。
やはり 私は普通車で。 いや とんでもない。
そんなことをしたら 体を壊してしまう。
大丈夫。 何とかしますから。
え~ お客は みんな乗ったのかい?
いや…。 えっ? 来てない客は?
二等の2号室の宮本さまが まだ…。
よし 勝呂さんの荷物を 2号室へ運んでくれ。
あっ しかし…。
いや その宮本とやらが現れたら➡
「遅過ぎましたね」とか 何とか 言って 追い払えばいい。
よろしいんでしょうか? 莫さま。
もう来ないだろ この時間じゃ。
宮本 武蔵は 刻限に遅れます。
ハハハ。 うまいこと おっしゃる。
取りあえず 乗ってしまってください。
あとは 何とか 私が。 助かります。
三木! かしこまりました。➡
では お荷物をお預かりいたします。➡
どうぞ こちらから ご乗車くださいまして。
こちらでございます。
車掌さん。 はい。
かわやは 汽車が発車せな 使ったらいかんとか?
いや 使っていただいて 結構でございます。➡
勝呂さま こちらでございます。
かたじけない。 失礼いたします。
こちらですね。
あっ 失礼いたします。 どうぞ。
えっ? あっ いや…。➡
あの 部屋 お間違えではないですか?
いや 他に あの… 空いてる寝台が ございませんので➡
こちらを使っていただくことに なりました。➡
え~ 勝呂さまは 上段でございます。
無理 言って 申し訳ございません。
こちら 勝呂 武尊さまで いらっしゃいます。
えっ? よろしくどうぞ。
間もなく 出発いたします。
先ほどは どうも。 ああ…。
東京まで 一つ よろしくお願いします。
ああ…。
どうぞ。
んっ…。
あっ… 大丈夫ですか?
ヘヘ… はしごに上ったことがないもので。
あっ あの あの あの…。
あの よかったら 僕が 上 行きましょうか?
そうしていただけると助かります。
フグの一夜干しですが よろしかったら。
あっ 結構です。
ヘヘ。
生まれて初めて 相部屋を体験しております。
戦地では たいてい相部屋です。
私は 最も兵隊に向いていない人種です。
有名な方だそうですね。 乗客が噂していました。
フフ。
あいにく 私は 2年前まで 満州にいたものですから➡
世の中に疎くて。
2年前から 私は有名でしたが。
あっ これは失礼。
参謀本部の 能登 巌です。
勝呂 武尊です。
≪(ドアの開く音)
失礼いたします。
旦那さまが お呼びだ。 はい。
幕内です。
んっ?
オマールエビのテルミドールです。
おっ すごか! うまそう。
列車に乗るたびに 私は思うんですよ。
自分に文才があればと。
ほう どういうわけで?
この光景 素晴らしいではないですか。➡
これから 一晩 知らない者同士が 一緒に過ごす。➡
一つ屋根の下で 眠り 食事を取る。
そして 東京に着いたら それぞれの目的地に向かい➡
そして 二度と会うことはない。 まさに 一期一会。
小説の題材として 最高でしょう。
ただ 列車事故が起これば 話は別ですよ。
勝呂さん。
ここにいる 全ての人々の人生が ある一点で結ばれる。
死という絆によってね。
嫌なことをおっしゃいますねえ。
あっ 失礼。
確かに こうして見ると➡
あらゆる階層の人々が 集まっている。
さしずめ 現代日本の見本市ですな。
ここ よろしいですか? どうぞ どうぞ。
失礼します。 羽佐間と申します。
保土田です。 よろしく。 よろしくお願いします。
博多で 自動車ば 売りよるとたい。
あっ 僕は 万年筆の販売を。
私もですか?
いや 旅は道連れって 言うじゃないですか。
益田です。
職業もですか?
結構です。 後で 私の部屋へ➡
水を持ってきなさい。 あっ それから オレンジジュース。➡
グラスは大きめ。➡
夜に おなかが すくと…。 轟侯爵夫人➡
ご存じないですか? いいえ。
亡くなった ご主人は 確か 貴族院議員でした。➡
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