The first 184 lines.
<「明日が来れば」とか⇒
人は よく口にする>
<ホントは みんな とっくに気づいてる>
<いくら歩いたって もう 前には進んでないことを>
<それでも とりあえず 前を向いているふりなんかして>
<「明日が来れば」とか どうせ…⇒
明日も つぶやいてる>
えっ? あ… ウエーターの経験っすか?
<ねえよ …んなもん>
あ~ あります。
えっ? あ… ちょ ちょっと…。
はい 明日…。
明日 3時… はい⇒
面接… はい 大丈夫です。
はい。
はい。
ヤス? フフっ 久しぶり 元気?
何?
あぁ ねぇ あれだね~ 最近 公衆電話って減ったんだねぇ。
す~ごい 探しちゃった~ ハハ…。
だから 何?
ん~… あのさぁ かあさん また⇒
ケータイ 止められちゃってさぁ ハハハ…。
で 悪いんだけど ちょっとだけ お金…。
もしもし…?
それは やっぱ ジェロム・レ・バンナでしょ。
何でよ~ あんなのさぁ⇒
ただのビッグマウスの ウソつき野郎じゃんかよ。
違う 違う そこが いいんだろうよ。
「俺の相手はリングで 1分でも 立ってらんねえだろう」⇒
…とか言って テメェが10秒で やられちゃうの 愛せんだろ!
あっ あれ覚えてる?
レ・バンナとアンディ・フグのさぁ。
ダァ! 違ぇよ。
違ぇよ お前 それ 飛び蹴りじゃねえかよ。
アンディ・フグの 後ろ回し蹴りっつうのは⇒
お前 こうだろうよ。
あ…。
これだろ これ。
<そういえば…>
待て オラ~!
すいません! すいませんでした!!
おい オラ~!!
<そういえば これが…>
ぶっ殺すぞ オラ~!!
<自分の足で走った 最後だった>
<クソみたいな俺の人生から⇒
逃げるために>
ヤベェ ヤベェ…。
おい コラ~! コラ~!
<そして 俺は…>
<こんな時でさえ⇒
どんなウソをつくか 考えていた>
<明日のバイトの面接に 行けなくなった言い訳を>
あっ 長谷部さん! 長谷部さん 分かりますか?
長谷部さん 分かりますか?
おう 長谷部君 目 覚めたか。
担当医の小宮山です。
長谷部君?
電話…。
電話?
バイトの… 面接…。
そうかぁ…。
長谷部さん 今日が何日か お分かりですか?
君は 事故の日から3日間⇒
意識がない状態だったんだよ。
3日?
胸椎の11番目⇒
腰から少し上の辺りの 背骨なんだけど⇒
骨折をしていましたが 手術は無事終了しました。
あの…。
いつ頃 退院できんすか?
落ち着いて聞いてほしい。
君は 脊髄を損傷してしまった。
神経というのは 一度 壊れてしまったら⇒
もう元には戻らない。
おへそから下の感覚が ないだろう?
はっきり言っておきます。
君は もう 一生…⇒
自分の足で歩くことはできない。
まぁ 突然のことで 気持の整理がつかないとは思う。
でも まずは その事実を 受け止めておいてほしい。
何だよ それ…。
<俺の人生…>
何…?
終わってんじゃん。
あっ 美乃里さん 美乃里さん。
はい。 こちら 東病棟へ ご用事みたい。
ハァ… 長谷部泰之の母です。
ヤス!
フフっ しっかしバカだよねぇ あんたも。
隣のビルに 飛び移ろうとしたんだって?
スパイダーマンじゃないんだからさぁ 短足のくせに。
あっ ねぇ… 一緒にいた佐藤君って⇒
あのシゲル君でしょ? 中学で同級だった。
鼻の骨 折られちゃったんだって? 聞いたんだろ。
…なんだってさ。
まぁ 俺はもう 歩けな…。
何かさ 食べるもの 何でもいいんだってよ。
これ。
何か買って来るね。
今 手持ちがなくてさ ねっ。
≪そっか 明日 退院か じゃあ もう会えなくなるね≫
そうなのよ 久実ちゃんに会えんなら もう⇒
俺 どっかで またケガして 来ようかな。
コラ! いや ウソですよ もう。
はい ほら もう5時 お店 閉めますよ!
迷惑になるからね また明日も来ますから。
うん またね。
メロンパンだ…。
お客さん ラッキー! それ 最後の1個。
これ 息子の大好物。
<あれから ずっと生きて来て⇒
こんなことに…⇒
結局 こんなことに なっちまうなら⇒
あの時…>
)
)
)
((このまま2人で 行っちゃおうか フフっ))
((きっと 今より ず~っと楽ちんだから))
)
)
)
)
((もうお母ちゃん ぶたないでって 僕が お願いする))
)
((あんな奴のとこなんて もう帰んないよ!))
)
)
)
<俺の一番古い記憶⇒
それは川の水の冷たさ>
)
<死んどきゃよかった>
お待たせ。
あっ ごめん 今 病院だから うん。
これね 最後の1個。
ケータイ 止められてたんじゃねえのかよ。
ん? あぁ… うん。
はぁ~ また男に せびったか。
「男」って…。 釣りは?
だって 働いてた お弁当屋さんも つぶれちゃうしさ。
釣り。
あぁ…。
これ。
もう来なくていいからね。
ヤス!
あっ 来てたんだ。 うん。
ごめん 卓ちゃん さっきは 病院だったから… 何か作るね。
はるちゃん。
息子さん どうだった?
うん… もう一生 歩けないって。
あぁ そう。 はぁ~ ハハっ。
だけどさぁ…。
こんな時 母親として 何て言っていいか分かんないよね。
うん…。
横向きますね。
<いくら金積まれたって 俺には無理だ>
今日も いいお通じでしたね。
<他に もっと楽しい仕事 あんだろうが>
じゃあ 流しますね お湯の温度に気をつけて。
長谷部さんは下半身の感覚が ないんだからね。
<俺に言わせりゃ⇒
こういう職業を選ぶ奴の感覚が 分かんねえ>
それは無理だ。
君が ひとの助けなしに トイレや 入浴を1人でする方法は⇒
今は ない。
君はもう これまでのような生活は できない。
これからは 今までとは違う人生になるんだ。
俺は別に 誰の助けも いらねえから。
けどね 長谷部君…。
あんた 医者だろ?
医者なら治せよ 諦めんなって。
俺を歩けるようにしてみせろよ。
覚悟を決めてほしい。
これからは これが君の人生だ。
<俺の「終わってる人生」が⇒
始まった>
はい じゃあ 手 回して。
はい イチ ニのサン!
あっ! 大丈夫ですか?
大丈夫 大丈夫? 起きるよ せ~の。
分かるね? 下半身の感覚がないと イスに座るのも難しいんだ。
No comments yet. Be the first to leave one.