The first 194 lines.
お母さん! お母さんを殺さないで!
お母さ~ん!
泣くな!
泣かないで アスラ。
お前は 誇り高き神の子です!➡
タル人として気高く生きなさい!
さあ アスラ 神を招きなさい!
聖なる宿り木の輪を 手に取りなさい!
ああ~っ!
うっ!
母さ~ん!
アスラ…。
お母さ~ん!
狼にかみ殺された痕のようだ。
ゆうべ この祭儀場に忍び込んだ➡
タル人の女を 処刑するとの知らせがあった。
タル人の女?
トリーシア…。
どうしたのだ? イーハン。
イーハン まさか この女が…。
<この世界は 眼に映るものだけが 生きているわけではない。➡
常に 神秘とともにある この世で➡
人は 王として生まれる者もあれば➡
不遇な民として生きる者もある。➡
王に父を殺された女は 用心棒となった。➡
女の名は バルサ>
バルサ!
ご主人様。
約束どおり 私の役目は ここまでです。
あんたは 新ヨゴ国には帰らないのか?
国境を抜けるまで 一緒に来てくれ。
私は 一緒には行けません。
どうして?
私は 新ヨゴ国の役人に見つかれば 捕らえられる身なのです。
隠していた事を謝ります。
そういう事なら しかたないな。 ここで 報酬を払おう。
しかし 私が そんな事も知らずに 雇ったと思うかね?
お前を突き出せば 我らに その何倍もの報酬が入る。
それを みすみす逃すと思うかね。 うん?
用心棒のバルサ。
お尋ね者のバルサさんよ。
やっぱりね…。
あんたは 食えない商人だと思ったよ。
欲を持ち過ぎると 命を捨てる事になるよ。
あ~っ! うわっ!
でや~っ!
うっ! アスラ アスラ!
しっかり歩け シャットイ! おら!
離せ!
お兄ちゃん…。
離せよ。
どけ!
離せ!
邪魔だ!
あっ ごめん… バルサ。
年に一度の草市だから➡
きっと あんたも ロタ王国に 来てるんだと思ったよ。
バルサ~!
はっ!
お前 こんな所で 何してるんだよ!?
だから お前がいるかと思って…。
今まで 何してたんだ!?
ずっと ロタ王国で 仕事をしていた。
ちょっと こっち来い。
ごめんよ ちょっと どいて。 ほら。
あ~ お前は 何で あんなバカな事をしたんだ。
タンダにも 迷惑をかけたろうね。
お前の事だ チャグムの前で カンバル王を倒そうとしたのは➡
チャグムのためなんだろ。
チャグムが お前のために カンバル王を倒すなんて言ったから。
これから行く所でもあるのか?
ないさ。 また どこかで 仕事を見つけるだけだ。
ここでは私も シャットイだよ。
シャットイ?
ロタでは 野良犬という意味だ。
それじゃ とりあえず 俺と一緒に来い! ほら。
おいしい魚 いっぱいあるよ。 じゃあ このお魚 2尾。 はい。
今日は ここに泊まればいい。
お前の宿か? うん。 もし 心配なら➡
俺の女房だと言えばいい。 フッ…。
笑うなよ 人が真面目に言ってるのに。
いや 真面目に言うからさ。
この格好じゃ お前の用心棒と言った方が➡
信用されるんじゃないのか? 好きにしろ。
猿…。
タンダさん。
久しぶりですね。 スファルさん… スファルさんでしたか!
あっ スファルさんは ロタの呪術師だ。
トロガイ師匠も一目置くような 呪術師なんだ。
この猿は 恐らく スファルさんの目なんだ。
だから 俺に気付いたんでしょ?
もしかして こちらは バルサさんですか?
何で バルサだと すぐに分かったんですか?
この人は強い。 相当の槍使いだ。
しかも カンバル人で 女の用心棒となれば➡
誰でも その名を思いつく。
気を付けて。
≪(チキサ)やめろ 離せ。
諦めな!
お兄ちゃん!
≪じゃあ 紹介状 見せてもらいましょうか。
あの部屋に 何か気にかかる事でも?
今の男たちは 青い手の者でしょう。 青い手?
人身売買をするヨゴ人の一味です。
さっきのロタ人が連れていた➡
男の子と女の子を買うために…。➡
見たところ あの2人は タル人です。
ロタ王国では ロタ人よりタル人は身分が低い。
奴隷として売られるのも 珍しくはないでしょう。
だから 放っておけと?
あまり関わり合いに ならない方がいい。
それとも何か 放っておけない理由でも➡
おありなのですかな?
人を助けるのに 理由は必要ないでしょう。
早く ここから逃げるんだ。 逃げるって どこに?
どこでもいい。 逃げないと 俺たち 売られてしまう。 え?
だから その前に逃げるんだ。
早く お兄ちゃんに乗って ここから出ろ。 お兄ちゃんは?
俺も後から必ず行くから。 なっ? 早くしろ。
ハハハハハッ さあ どうぞ。
何やってんだよ お前は!
どうですか? よく見て下さいよ。
妹に触るな!
どうですか?
これだけ見栄えのいい子は そう いませんよ。
タル人といっても 新ヨゴ国では関係ないでしょう。
将来を見据えても 大変な お買い得ですよ。
≪(チキサ)やめろ! 銀3枚ってところだな。
ハハハハッ またまた 冗談は よして下さいよ。
いくら見栄えがよくても こう顔色が悪くっちゃな。
どんな美人でも死なれたら丸損だ。
それなら こっちの兄の方も つけましょう。
もちろん。 そっちもつけて銀3枚だ。
腕っぷしも からっきしだったしな。
駄目だ! 約束どおり 金1枚じゃなきゃ譲れない。
うらっ! あっ!
じゃあ これなら どうだ!
ああ~っ! うわっ! ああっ!
恐れなくてもいいのよ。➡
間違っているのは ほかの人たちだから。
ああっ!
まぶしすぎる光は 人の目をくらませる。
光を見ているのに 闇を見ていると思い込むのよ。
これを お前の懐に ねじ込んでやろうか?
それとも ガキを殺せば➡
金を払う必要もなくなるだろう。
お母さん! 泣くな!
泣かないで アスラ。
お前は誇り高き神の子です!➡
タル人として気高く生きなさい!
さあ アスラ 神を招きなさい!
聖なる宿り木の輪を 手に取りなさい!
危ない。
駄目だ アスラ! よせ!
アスラ アスラ!➡
アスラ 大丈夫か? アスラ。
≪バルサ!
バルサ!
バルサ! 何があった!?
スファルは? スファル?
スファルさんと一緒にいたのか?
ギャロニ ギャロニ カデャロニ ギャロニ。➡
ギャロニ ギャロニ カデャロニ ギャロニ。➡
ギャロニ ギャロニ カデャロニ ギャロニ。➡
ギャロニ ギャロニ カデャロニ ギャロニ。
何をしている?
この子たちを連れて 早く。 え?
この2人の手当てを してやってくれ!
こ… この子たちは どうしたんですか!?
とにかく 2人を移そう! うん。
まるで 祭儀場の死者たちだね。
タルの神が再臨したのだ。 間違いない。
一体 何があったんだ?
あの子は どうして 気を失ってるんだ?
スファルさんの事は知ってるのか?
少しは 自分で考えなよ。 呪術師だろ。
呪術師? まあね。
あの人は?
ああ… あいつは用心棒だ。 バルサという。
怪しいけど 悪いやつじゃない。
アスラ。 アスラ。
この子は チャグムと同じじゃないのか?
えっ チャグムと?
この子にも 何かが宿っている。
だから スファルさんも 気にかけていたんじゃないのか?
そうなのか?
えいっ! ふっ ふっ!
ああ~っ!
殿下。 シュガ!
あったか! 苦労しましたよ 本当に。
これは 思い出の味なのだ。
食べてみよ。
うん うまい。
さあ行くよ。
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