The first 200 lines.
NETFLIX プレゼンツ
(シャッター音)
(朝倉晴人) 僕は 君を傷つけてしまった
とてつもなく
(晴人の荒い息)
(晴人)あの時 君の目に 浮かんでいたのは悲しみだろうか
それとも 憎しみなんだろうか
もう どんなに後悔しても 答えは見つからない
僕にできることは 君を探し続けることだけなんだ
あの春の中に 確かにいた 桜のような僕の恋人を
(髪を切る音)
(晴人)桜 咲いてきましたね
(有明美咲)ですねえ フフフ…
(晴人)来週がピークらしいですよ
(美咲) もう お花見の季節なんですね
夢中で仕事してたら
あっという間に 春になっちゃってました
ハハハ…
(晴人)再来週は雨らしいんで 行くなら来週がマストです
(美咲)来週ですか…
はい
ちなみに 休みは予定とかあるんですか?
(美咲)もう全然です
朝倉さんは 相変わらず お忙しいんですか?
あっ いえ…
(美咲) でも プロのカメラマンなんて
すごいですよね
ちなみに 今は どんな写真 撮ってるんですか?
え? ええっと…
あっ もしかして桜ですか?
はい
(美咲)はあ~ いいなあ (晴人)桜です…
(美咲)フフッ… ステキ
そうだ
あっ あの よかったら あの 一緒に…
(ハサミで切る音) (美咲)あっ…
きゃあ~!
きゃあ!
(辻)何やってんだ… タオル
(辻)タオル持ってきて! (スタッフ)はい!
(辻)大丈夫ですか? 氷ある?
(辻)どこ! (美咲)すいません
すいません! 申し訳ありません
(晴人)“有明さん”が泣いていた
僕のちっぽけな耳たぶのために
君と出会ったのは去年の夏 ありふれた午後のことだ
(美咲)本日 担当します 有明美咲です
よろしくお願いします
(晴人)クーポンに釣られ 迷い込んだ僕の前に 君は現れた
今日は どうなさいますか?
(晴人)えっ?
(晴人)お任せで (美咲)承知しました
(ドライヤーの送風音)
どうですか?
え… あっ なんか…
いつもより さっぱりした気がします
よかったあ
ほんとは 心臓バクバクしてたんです
朝倉さんは 私にとって大切な
お客様第一号なんで
フフッ
(晴人)満開の笑顔だった
それから 月に一度 ペニーレインに通うようになった
(美咲)ツムジ ちっちゃいのが2つありますよね
(晴人)あ… (美咲)そういう人って
天才肌らしいですよ
(晴人)回数を重ねるごとに 少しずつ会話も増え
君が 好きな映画の話をすれば
次までに その映画を何度も見返した
(子供の笑い声)
(晴人)恋人がいないと知った日は うれしすぎて15年ぶりに
ジャングルジムを回して はしゃいでしまった
(笑い声)
(美咲)もしかして桜ですか?
はい
(晴人)そして 勇気を振り絞り デートに誘おうとした結果
そうだ よかったら 一緒に…
(美咲の泣き声)
(美咲)ほ… ほんとに すいません
あ… いやいや 大丈夫です 気にしないでください
いきなり振り返った僕が悪いんで
いえ 私の不注意です!
治療費はもちろん 賠償金もお支払いしますし
何でも言ってください
(すすり泣く声)
何でも?
(美咲)はい
(晴人)じゃあ…
僕と一緒に 桜を見に行きませんか?
僕とデートしてください
(有明貴司)何だ そりゃ
ローブローみたいな反則技で 誘いやがって
おい 美咲
その耳たぶ野郎の連絡先 教えろ
次は俺が 逆の耳たぶ 包丁で ちょん切って
(貴司)ミンチにしてよ… (吉野綾乃)ちょっと!
(綾乃) 私 今 水ギョーザ食べてるのに
いいかげんにしてよ
(リリィ)あ~あ~ (客)あららら…
(綾乃)怒るより あんたが まず謝りに行かなきゃでしょ
(貴司)バカ お前
本人が大丈夫だっつってんだから 大丈夫なんだよ
俺なんか鼻骨に中手骨 何回 折ったと思ってんだ
(綾乃)それは あんたが 弱いからでしょ 4回戦ボーイが
だから8回戦だっつうの
(美咲)もういいから いつもの そのくだり
まあ 何でもするって もう言っちゃったし
お兄ちゃんは口挟まないで
(斉田)無理だよ 美咲ちゃん
あいつは大将と女将さんが 逝っちまってから
父親代わりのつもりなんだから
(斉田)なっ! (客)あっ…
(客)ダメなんだな 美咲ちゃん
(斉田)うん
ありがたいけど ちょっと暑苦しいの
(客たちの笑い声) (リリィ)言われちゃった
(美咲)飲みすぎだから 勝手に うちの仏壇 開けないで
(リリィ)あなたもさ なんで貴司君と付き合ってんの?
美人だし 化粧品会社の 商品開発してんでしょ?
(竹さん)どこがいいんだよ
(客たちの笑い声) (貴司)はい?
私は いいと思うけどな
(リリィ)あら やだ… イヤ~
(綾乃) 新進系カメラマンとのデート
(貴司)ああ? (リリィ)そっちか~
別に… デートだなんて思ってないから
これは 損害賠償みたいなもんなんです
(客たち)損害賠償? 何それ?
恋愛を長く休むと 復帰が難しくなるよ
(貴司)余計なこと言うな バカ (綾乃)ん~ おいしい
(リリィ)あんた 大丈夫? (客)いや 全然 大丈夫だよ
(客たちの笑い声)
(美咲)ご迷惑をおかけして 申し訳ありませんでした
(辻)仕事のミスは 仕事で返すしかないんだぞ いいな
(美咲)はい
(辻)じゃあ よろしく
(一同)よろしくお願いします
(マッキー)よし 準備しよう (一同)はい
あ~ まただ…
(スタッフA) 何? 白髪?
最近 すごく多くて
(スタッフA) 切ってあげようか?
う~ん… 染めないとダメかもです
(スタッフB) ストレスでしょ ストレス
この職場 3Kブラックだから
(スタッフA)言える~
(バイブレーション音)
(晴人)デートの件に関しまして
夜分に失礼いたします 朝倉晴人です
(客)すみません お会計お願いします
(晴人)あっ…
すみません
(晴人)先日 お約束 させていただきました デートの件
予定どおり 有明さんのお休みに合わせて
来週火曜日に実施したく存じます
つきましては 午前11時 新宿駅南口集合
括弧 サザンテラスのほう ではないので ご注意ください…
(美咲) 当日 楽しみにしております
何これ… かしこまりすぎ
(通知音)
(美咲)かしこまりました
当日は 何とぞ よろしくお願いいたします
よっしゃ!
(笑い声)
(美咲) 朝倉さんが写真を撮るお手伝いを
させていただければ幸いです
(晴人)謝らないといけなかった ウソをついてたことを
カメラマンになる それが僕の夢だった
高校を卒業してすぐ 父が餞別にくれたニコンF3を
夢への切符のように握り締めて 東京に降り立った
東京タワーは なんだか偉そうで…
(ぶつかる音) (晴人)あっ ごめんなさい
(晴人)人の多さに おじけそうだったけれど
ここが夢舞台だと ファインダー越しに胸を躍らせた
それが 第一号の記念写真
けれど…
(高梨健三)そこじゃバレてんだろ バカ野郎 考えりゃ分かんだろ!
おい 周り よく見ろよ! もういい!
(高梨)真琴 運んでやれ (市川真琴)はい
(真琴) モニター セッティングして
すいません
(晴人)見習いとして
写真家事務所に 潜り込んだはいいが
(真琴)テストします
(晴人) 想像を超えたハードワークに…
(真琴)朝倉
(晴人)先輩たちとの才能の差を 感じたからかもしれない
(真琴)お疲れ
(晴人)お疲れ様です
(晴人)一年も経たず 逃げ出した
(客たちの笑い声)
(客)いけるよ!
(晴人)以来 バイトを転々
でも“これは充電期間なんだ”と 自分に言い聞かせた
そう いったん休むだけだ
心が また シャッターを押したくなるまで
(美咲)有明美咲です よろしくお願いします
今日は どうなさいますか?
(晴人) そんな時 出会ったのが君だった
緊張しながら 一生懸命 髪を切る姿に
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